アメリカはポートランド出身のサイケ・シンセポップバンドであるSTRFKR(スターファッカー)が待望の新譜“Fantasy”をリリース!
アルバムをリリースするごとに音楽スタイルを着実にアップデートしてきた彼らの新譜は「チルウェーブ」のニュアンスが感じられる、夏の終わりと秋の始まりにぴったりなシンセベースのチルな一曲だ。
僕が聞いた感想は「また新しいスタイルで音楽を作っているな」というもの。アルバムごとに作風を少しずつアップデートしてきた彼ららしい新曲だ。僕がSTRFKRが好きなところだ。常に少しづつ、でも確実に新しい音楽を届けている。
“Fantasy”もSTRFKRの音楽スタイルが作り上げてきた歴史の延長線上にいる。過去にリリースされた曲を少しづつ初回しながら、今回の新曲である”Fantasy“の良さをお伝えしたい。
STRFKRの音楽スタイルはこう変遷した
彼らはサイケポップバンドと描写されることが多い。例えば“Rawnald Gregory Erickson The Second”なんてまさにサイケポップサウンドだと思う。ローファイでチープなギターリフが繰り返される心地よさ、輪郭のぼやけたウィスパーボイスのようなボーカル。彼らの初期の特徴である。
サイケな要素を残しながら、シンセサイザーをメインに据えた”While I’m Alive“。ギターリフのローファイ感は残りながらも、よりシンセポップに舵を切ったと感じられるはずだ。
そして前作である“Being No One, Going No Where”の“Tape Machine”だ。完全にシンセポップバンドに舵をきり、メロディーや展開にも深みが出ている。映像的なサウンドというか、ストーリーが感じられると思う。個人的には一番好きなアルバムでありスタイルである。無人島に持っていきたい10枚には確実に入る。
チルウェーブのニュアンスを取り入れた”Fantasy”
簡単にSTRFKRの音楽の変遷をご紹介した。
もちろん軸にあるサイケであることや、耳に気持ちいいリフなどのスタイルは根底にあるもの、常に新しい音楽性を取り入れてきたSTRFKR。
“Fantasy”では”チルウェーブ”という音楽ジャンルのニュアンスを取り入れているように僕は感じた。イントロはフィルターの掛かったシンセサイザーのコード進行と、アルペジオっぽい細かなエレクトロなフレーズから曲が始まっていく。ここにチルウェーブのニュアンスを感じるわけだ。
チルウェーブについてはこちらの記事を参照してみてほしい。

もちろんバンドっぽさはしっかり残しているものの、完全に主役はエフェクトを多用したシンセサイザーのリフである。曲の構成や展開は細かく整理されていて、Aメロに入るまでに3つのセクションがある。サビ終わりまではコード進行が同じではあるのだけど、音色やメロディの出し入れで展開を作り出している。ここのSTRFKRとしての強さが出ていると思う。
ポイントは3分過ぎから5分前までのループの部分だ。ここでは歌メロはなくなり、楽器だけの演奏になる。個人的はずっと聴いていられるループだし、ここだけサンプリングして曲を作りたいぐらい心地よく踊れる。ここにもチルウェーブ以外の新しい要素として、テクノやエレクトロの要素がはめ込まれたと思う。
これまでのサイケポップやシンセポップのバンドとしての姿に、チルウェーブなど新しい音楽スタイルを取り込んだ。STRFKRは自分の音楽スタイルを常に少しずつアップデートして、リスナーを飽きさせない素晴らしい音楽を届け続ける。これが僕がSTRFKRが好きな理由だ。
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