フィリピンのロックバンド、IV of Spadesをご存知でしょうか。フィリピンでどんな認知をされているか、知名度はどれぐらい高いのか定かではありませんが、フィリピンの国民的バンドと言ってもいいぐらいのYouTubeの再生回数を記録しています。代表曲”Mundo”のライブ映像は1億回再生と、日本でいうところの米津玄師やOfficial髭男dismあたりと同規模。実は昨年コロナ前に日本に来日し、ライブを敢行したのですがとんでもなくいいライブでした。普段はライブ中は写真、映像を撮らない主義なのですが、これはたくさんの人に知らせなくては!と感じてTwitterにポストしました。
I need to post this video against my policy, not taking any videos during showlive, in order to show how wonderful IV of SPADES’ performance was!!!
フィリピンのバンドIV of SPADESめちゃくちゃかっこよかったっすわ、マジで。 [pic.twitter.com/3GOiJ5pKY6](http://pic.twitter.com/3GOiJ5pKY6)
— Sleepyhead | 音楽のブログ (@SleepyHead_blog) January 31, 2020
残念ながらIV of Spadesは2020年に活動休止を発表してしまいましたが、一方で昨年ベース・ボーカルのZild Benitesがソロアルバム『Homework Machine』をリリースしました。このアルバムが本当にいい。IV of Spadesのバンドの可能性を追求したオーセンティックなバンドサウンドで、ファンクとポップスを絶妙にミックスしたサウンドをアイデンティティとしていました。Zildのベースソロもかなりハデなもので、彼のベースサウンドもIV of Spadesのアイデンティティとなっていました。しかし、ソロアルバムでは打って変わってシンセポップに振り切っています。実はこのアルバムは、前日ご紹介したMong Tongと共にNMEの“The 25 best Asian albums of 2020”に選ばれています。
アジアの音楽として括ること自体が若干野暮なのでは?と思いますが、アジアの中でも作品のパワーが認められているZild。古くはYMOが世界に出て行った70年代後半から80年前半から、Subpopから作品をリリースしたChaiなど、日本をはじめとしてそれぞれの国のローカルスターが他国・地域で発見され人気が出る現象は珍しく無くなってきています。個人的にはベーシストであることや、人気バンドでの活躍、ソロ作品の楽曲にユニークなポップセンスが盛り込まれていて、作品として耐久力のあるクオリティの高さを思うと細野晴臣みたいな活躍を願ってしまいます。もちろん無理やり重ねた部分はあるにせよ、彼の活躍によってフィリピンの音楽シーンが発展し、世界中のリスナーをもっと巻き込んで欲しいなと思います。