個人的に待望していたRooseveltの3rdアルバム『Polydans』が2月26日にリリースされました。一通り聴いてみて「やっぱりポップセンスとダンスミュージックをバンド編成で表現してるな」と感心しています。僕としてはRooseveltことMarius Lauberの良さが一番出ていると感じたのは先行でリリースされていた”Feels Right”です。
彼は元々Beat!Beat!Beat!というバンドでドラムを担当していたのですが、そのバックグラウンドがあるからなのかリズムがとても気持ちいいんですよね。それはドラムだけでなく、一回聴いたら頭から離れないリズミカルなベースリフにも、小気味よく控えめになっているカッティングギターにも感じられます。
Beat!Beat!Beat!は今のRooseveltに繋がるダンサブルなロックで、2021年の今でもまだまだ新鮮に聴けます。
Beat!Beat!Beat!の泥臭いインディーロックに比べるとかなり洗練された印象のRooseveltですが、根本にあるリズムやビートへのこだわりはいまだに変わりません。シンセの使い方や楽曲の構成にダンスミュージックを感じる”Feels Right”ですが、やっぱりリズムに尽きる音楽だなと。ベースはシンプルなリフを基本としているのですが、ゴーストノートとスライドの低音と高音でキャッチーなベースラインを作り出すRooseveltらしさが前面に出ていて、頭の中でずっと再生してしまいそうになります。それぐらい心地いいし踊り出したくなるんですよ。
MVも同時に公開されていましたが、舞台はMVの撮影現場。Rooseveltは16mmフィルムのカメラでローファイな感じで撮影したいのに、ディレクターも現場の照明を落としたりトンチンカンな指示を出す始末。困ったRooseveltが全員がスタジオから出た隙に鍵を閉めて一人グリーンバックの前で好きなように16mmフィルムでMVを撮影しだす、というストーリーです。
最後のグリーンバックのローファイな映像と、印象的なベースリフはRooseveltの代表曲でもある”Montreal”を思い出させました。この時はバンドメンバーも登場していたのですが、”Feels Right”では演奏しているのはRoosevelt本人だけ。彼のソロプロジェクトである一面がグッと強まり、サウンドの世界観を強固にした姿勢すら感じさせます。
日本で今一つ突き抜けない印象ではありますが、音楽ファンの間でも人気が出て欲しいなと個人的に思っています。コロナが落ち着いたら日本に来て欲しい。