ゴールデンウィークも中盤。9連休を楽しんでいる人も多いはず。
きっと旅行に出かけたり、観光地に出向いたり、イベントに参加したり、仲間とバーベキューしたり。ここぞとばかりに遊びまくることができるいいタイミング。
しかし、後半に差し掛かり始めるとちょっと遊び疲れて、のんびり過ごしたくもなるもの。そんな遊んで熱くなった身体を冷ます「チルアウト」にぴったりなプレイリストを、音楽ジャンルの一つである「チルウェーブ」にフォーカスして作ってみた。
プレイリストに入れたアーティストを簡単にご紹介していく。
チルウェーブとは?
アーティストごとの紹介に入る前に「チルウェーブ」という音楽用語を簡単にまとめる。
チルウェーブとは、2000年代後半に生まれた音楽ジャンルの一つ。音楽性についてはウィキペディアによるとこのように定義される。
チープな打ち込みをバックにノスタルジックなメロディーを乗せ、アンビエントの要素をブレンドした強烈なレイドバック感のあるシンセポップを展開する[1]。多くのチルウェーヴ・アーティストは、リバーブが深くかけられたもやもやとした音像、エフェクトのかかったボーカル、浮遊感のあるシンセサイザーのループ、ニュー・ウェーヴからの影響が濃いディスコティックなビートなどを織り交ぜ、幻想的・耽美的な音世界を構築している[2]。
要するに、ふわっとした浮遊感につかみどころのない歌声から構成される、輪郭が曖昧な音楽。80年代のVHSで流れてそうなレトロなBGMみたいな音楽とも言われる。
音楽を聴くに当たって「耳の体力」を必要とせずノンストレス。なんとなくぼーっとしたい時に流れていてほしい雰囲気である。
また、初めてインターネットが発端となった音楽ジャンルの一つ。
Hipster Runoffという音楽ブログが「チルウェーブ」という言葉を使って描写したことで、その後一つのジャンルとして認知されるようになっている。
そのようなインターネット世代っぽい音楽ジャンルである「チルウェーブ」の代表的なアーティストをご紹介していく。
①Washed Out
チルウェーブを語る上で欠かせない存在であるアメリカのミュージシャンであるErnest Greene(アーネスト・グリーン)のプロジェクトであるWashed Out(ウォッシュトアウト)。
そして“Feel It All Around”はチルウェーブに属するアーティストの曲の中で、もっとも広く知られている。チルウェーブを定義づけた曲とも言っていい。
シンセ・ベースのフレーズは延々同じ繰り返しで、ボーカルの声はほとんど輪郭を失ってしまったモヤのかかった声。
きっと仕事に入り込んでいるときや、恋人、友人と共に過ごす時間の後ろ側で流れていればリラックスできる。BGMとして生まれたような不思議な存在感がある。
もう一曲プレイリストに入れている。Amor Fatiはシンセのフレーズが印象的。Feel It All Roundよりはメロディーがキャッチーで聴きやすい。
個人的には暑い夏の日の夜、ベランダでビール飲んだ後に何にも考えずに聴きたい曲と言った感じ。
②Toro y moi
Toro y moi(トロイモア)はアフリカ系の父親とアジア系の母親の間で生まれたアメリカのアーティストChaz Bear(チャズ・ベアー)を中心としたプロジェクトである。
ちなみに昔ユニクロの広告モデルを務めていたこともある。
Washed Out and Toro y Moi at Tokyo Blog, Tokyo Story より引用
Washed out、後述するNeon Indian(ネオン・インディアン)、そしてToro y moiが「チルウェーブ」を代表する3アーティストと言われている。Toro y moi本人は決して「チルウェーブ」にカテゴライズされると思っていないようだが。
Toro y moiの作風はアルバムごとに大きく変わる。初期こそチルウェーブ的な浮遊感あるサウンドを鳴らしていたが、バンドよりの音になったり、またチルウェーブに戻ってきたり、変幻自在なのである。
Talamarkは打ち込みのドラムリズムに、メロディアスなボーカルが乗ってくる。サンプリングなどのテクニックも使いながら素晴らしいアルバムを作り上げている。Washed Outに比べてポップな印象を持つかもしれない。
③Neon Indian
Washed Out、Toro y moiと並ぶ「チルウェーブ」の代表的なアーティストがNeon Indian(ネオン・インディアン)である。
ボーカルであり、Neon Indianの中心人物であるAlan Palomo(アラン・パロモ)がつく出すチャッチーで、ちょっと可愛らしいシンセサウンドは他のチルウェーブのアーティストと異なる点。ピコピコしたシンセの聴き心地が良い。
アランは映画を音楽を作る上でのインスピレーションとして捉えており、のちにリリースされる“VEGA intl NIght School”(邦題は「ベガ国際夜学校」)にはシネマティックなストーリー性や映像をMVや音楽から感じることができる。
④The Flaming Lips
このプレイリストに入れておいて恐縮だが、チルウェーブにカテゴライズされるバンドではない。むしろそんなカテゴライズを必要としないほどのオリジナリティーとキャリアを持つバンドがThe Flaming Lips(ザ フレーミングリップス)である。
ベースのフレーズが強調された“Ego tripping at the gates of hell”を聴けば、まるでトリップする多幸感を存分に楽しめる。ほとんぞ曲を通して同じようなメロディーなのだが、ベースやシンセなどが微妙にフレーズを変えつつ演奏するため、少しずつ風景が変わっていくような不思議な感覚を味わえること請け合い。
Yoshimi Battles the Pink Robots
⑤Brothertiger
今まで紹介したアーティストよりかは、ポップでありリズムを強調したディスコっぽい雰囲気も感じることができる。
アメリカはダラス州出身のJohn Jagos (ジョン・ヤゴス)が、2009年から始めたソロ・プロジェクト Brothertiger (ブラザータイガー)はチルウェーブにカテゴライズされるが、シンセサウンドを軸とした「シンセポップ」的な捉え方の方がしっくりくる。
これまで紹介した音楽よりもバンド感があり、かつシンセの特徴的なメロディーが心地よい。
⑥Milliomyoung
こちらもアメリカ出身のMIke Diaz(マイク・ディアス)のソロプロジェクトであるMillionyoung(ミリオンヤング)。
エレクトロ・ポップと言われたり、チルウェーブとカテゴライズされたり、様々な表があるのだが、シンセサウンドと落ち着きのあるリラクシングな音楽性から今回プレイリストに加えている。
よりサンプリングを多用した「踊れる」サウンドでありながら、余白というか、ゆるさが残されている。チルウェーブよりも「洒落た」音楽性を好む人にオススメしたい。
⑥Memory Cassette
Memory Tapesという名前でも知られているカナダ出身のDayne Hawk(デイン・ホーク)のソロプロジェクト、Memory Cassette(メモリーカセット)。
チルウェーブというジャンルにも属しながら、とにかくエモい。郷愁にかられるノスタルジーがたまらなく心に刺さる。少し悲しげなメロディーにシンセとピアノが加わり、その物悲しいエンディング感に拍車をかけている。
最後に
遊び疲れて友達と別れて帰宅したあと、一人でぼんやり過ごす時間のBGMとして聞いていただければ本望。
BGMとして優秀だと思うので、例えば作業中に聴いてみたりするのも良いだろう。実際紹介しているプレイリストを聴きながら、本記事を書いている。
ぜひともチルアウトするときのBGMとして活用していただければと思う。
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