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【2020年要注目アーティスト】Lil Soft Tennis 『Season』 インタビュー

今年の5月1日に最新Mix Tape『Season』をリリースしたLil Soft Tennisは、様々なシーンや年代を超えてじわじわと、しかし着実にその名前を広げている。

Lil Soft Tennisを一言で表すとすれば、「ジャンルレスでフレッシュ」。彼の音楽はインディーロックやHIPHOP、パンク、エレクトロなど聴く人によって様々なジャンルを想起させる。

Billie EilishやPost Maloneなど一つのスタイルに捉われないアーティストがZ世代を中心に世界的に支持を得ている中で、彼のようなアーティストが日本から出てきたことは必然的であり、とても重要なことだと思う。

作品によって様々な面を見せる彼の音楽はどのような感覚で作られているのか。最新のMix Tape『Season』を中心にインタビューを行ったところ、彼のピュアなミュージックフリークス的な一面を垣間見ることができた。

回転していくけどずっとフレッシュ

ー SeasonというMIX TAPEはいつから制作を始めたんですか?

Lil Soft Tennis : 一昨年の12月に『Season』や『Laptopdogg』のデモができてきてて、その後の1ヶ月で『Choose!!』以外の デモはできてたかな。 アレンジとミックスを今年に入ってし始めたって感じですね。

ー 当時はどういうイメージで作品を作っていたんですか?

Lil Soft Tennis : 時系列的にいったら1stEPの『Love My Glasses』の次に作ったやつなんで、インディーポップLOVERな感じとトラップのユニゾンするところを探してたみたいな作品ですね。でもそんなに狙ってなくて、2018年のその時の一瞬の感覚をパッケージできたかなっていう感じです。

ー アルバムのタイトルであり、他の曲でもリリックに出てくる「Season」という言葉のイメージについて教えてください。

Lil Soft Tennis : 「Season」って前からずっと言ってて、Soundcloudにあげてる”Pop Out”って曲でも「ラジオは流し出す俺のシーズンを」って言ってるんですけど、友達の中でアンセムとして上がってたから他のリリックにも入ってるみたいな感じですね。

 

恒常的に変化しつつあり続けるみたいな、回転していく感じがその時の気分とあってたんかな。

結構広いイメージの作品集を思い描いてたから、『Season』ってMIX TAPEを作ろうと思って ”Season”って曲を考え始めたし。結構バイブスで『Season』って決めたところはあるけど、人にコンセプトを伝えるときは「回転していくけどずっとフレッシュ」みたいな感じで言ってます。”Season”のMVを見てもらったらわかると思います。

Lil Soft Tennis – Season

 

ー Lil Soft Tennisの思うSeason感のあるアーティストっていますか?

Lil Soft Tennis : Kanye Westですね。Kanye Westってアルバムごとにステップアップというか違う側面をどんどんカッティングしてアウトプットしている感じがSeasonっぽいかなって思います。

Fla$hbacksのfebbのアルバムも『THE SEASON』とか『SUPREME SEASON1.5』っていうアルバムを出してて、Febbは「Season」を野球のシーズンみたいな感じっすねって言ってるんですけど。俺はその感覚は違うけど、「Season」って聞いたらFebbを思い出しますね。

あとは『In Tongues』や『BALLADS 1』を出した時くらいのJojiとか。 『Season』に入ってる楽曲はコーラスが増えていくのとギター弾くのが激しくなる原始的な展開をしていくんですけど、そういうのはKanyeとかJojiにインスピレーションを受けましたね。

サウンドの面で言うとPi’erre Bourneで、シンセの浮遊感は『Season』目指してたところと近かったかなって感じです。 Pi’erre Bourneの浮遊感を、Alvvays的なちょいパンクなドラムスとかでインディーポップに落とし込むのがいいなと思って。

ー ありがとうございます。今挙げてくれたアーティストが『Season』に影響を与えているのはとても納得できたのですが、『Choose!!』だけ他の曲とはテイストが違うのが気になりました。

Lil Soft Tennis : 『Choose!!』は、あの時は結構本能かもな~…。曲的には全くないんですけど、The Get Up Kidsの 『Four Minute Mile』のジャケのイメージはありました。

あとはなんかあったかな…あ!RY0N4くんの企画でSeapoolを見たんですけどライブが超かっこよくて、衝動感にインスピレーションを受けてその次の日くらいに作りました。自分のライブでもこういうのや れたらかっこいいな~ってイメージで。

オルタナとか全然通ってないから、想像上のオルタナを作ったみたいな感じの曲です。

でも元々は『Season』に入れる予定ではなかったんですよね。ほんまやったら『Season』を出した後にlilsomくんに『Choose!!』のMV撮ってもらってWaaterとかにも出てもらう予定やったんですけど、こういう状況 になってMVも取りずらくなっちゃったんでこのままやと『Choose!!』出すタイミングなくなるなーって思ったんで無理やり『Season』にぶち込んだ感じですね。

元々はSkrr Skrr Babyloneがデモではそこ(Choose!!の位置)に入ってたんですけど前のEPで入れ ちゃったんで最終でいれました。

ー 『Laptopdogg』は「Never have a 咳止め」などのリリックが現代的で面白いなと思いました。 そうですよね。『Laptopdogg』の歌詞面白いですよね。

Lil Soft Tennis :「Like a Dustin ジェルで決める」、「Don’t stop believing like a stave and Fin」とかは Stranger Thingsやgleeのネタを散りばめていて、そうやって手繰ったけど「ネトフリ見過ぎの contense bitch」でディスったり。 後はイントロから結構リアルですね、「I got Mac to write report of the class」とか。そのMac でずっとライブしてますし。笑

ー 今回Le Makeupさんに『Season』(曲)のMIXをやってもらったのはどういう経緯だったんです か?

Lil Soft Tennis : Twitterで「友達のMIXやりたいよ~」って呟いてたの見て頼みました。今年の2月にライブで一 緒になってから知り合ったばっかなんですけど、Le Makeupはやばいですね。

K/A/T/O MASSACRE(幡ヶ谷FORESTLIMITで定期的に開催されている、日本のアンダーグラウンドシーンを中心に焦点を当てているパーティー)でやった配信ライブも入れ替わりでやったけど結構シームレスに曲とか繋がったんちゃうかなって。普通に日本の歌モノでトップレベルだと思います。 僕と比べたらだいぶハイコンテクストで実験的な音像ですけど、高めてもらってる感じですね。

その時ハマっているモードの中で飽きるまでやる

ー Lil Soft Tennisみたいな、色んなシーンを横断して活動しているアーティストって日本では珍しいなと思うんですけどそのことについて何か思うことはありますか?

Lil Soft Tennis : 確かに。Age FactoryとライブしたりLe MakeupとK/A/T/O KASSACRE出たりSOCORE FACTORYのイベントでNo Busesと対バンしたり、自分以外にはそういうことやってる人いないから、珍しいんかなとは思いますね。

ー 海外で自分とバイブスが似てるなっていうアーティストはいますか?

Lil Soft Tennis : バイブス的にはDominic Fike、Carlie Hanson、Jean Dawson、Roy Blair、Kevin Abstract周りのオルタナHIPHOPシーンですかね。そういうDIYなシーンみてるとやるしかないなと思う。 日本にいながら同じクオリティーで曲作りたいなっていうのはありますね。

色んな音楽やりたいんですけど、そのボリュームが日本にいなさすぎるかなとは思います。 S亜TOHやLe Makeupとか、もっと自分らみたいな存在が増えていってシーンになっていったら面白いなと思いますね。

S亜TOH × Lil Soft Tennis – oh no (MV)

 

自分がオルタナHIPHOPのスタンダード的な存在になって、自分と違った見られ方をされるアーティストが出てきたらシーンになってくるんかなって思ってるから、作品でその立場を確立していきたいです。

これはアーティストによって意識する人としない人がいると思うんですけど僕は普段自分が聴いてる音楽と並行して聴かれたら理想ですね。それこそLE MAKEUPは彼が聴いてるアーティストと並行線上でやってる感じがして、同じプレイリストに入っててもシームレスに聴けるところが尊敬してますね。

『Laptopdogg』でも”俺 just a listnerだけど息巻いてる”って言ってるんですけど、「ただの音楽好きな人やけどそこ(日本で)誰がやるんすか」って思って音楽やってるところもあるんで。

ー 常にジャンルレスでフレッシュな作品を作るためにやっていることはありますか? また、今後の活動について何か言えることがあれば教えてください。

Lil Soft Tennis : その時ハマっているモードの中で飽きるまでやることですかね。

『Season』を出さなかったら次のモードにいけなかっただろうし、出し切るってことが大事なんかなって思いますね。『Season』は今まで出してきた4作品の集大成で1つの区切りのような作品で、自分にとって意味のあるリリースだったかなって感じです。

今作ってるアルバムは『Season』とはまた違ったもっとハイクオリティな感じでやっていきたいですね。結構自分が聴いてるアーティストと同じ水準の曲が作れるようになってきたと思うから、その楽曲で色んなアプローチをしていきたいです。

 

Lil Soft Tennis – “Season”  https://linkco.re/1C0NMepm

Text : ゆーかり(Twitter @earlyspring33)

Lil Soft Tennisが作ってくれた最近のモードのプレイリストはこちら

Lil Soft Tennisに、『Season』(Seasonに影響を与えた曲)と、『Now』(最近のモード)の2つのプレイリストを作ってもらった。
『Season』はこの記事を読みながら聴いてもらえると更に理解が深まるはずだ。『Now』を聴きながらこれらの曲が彼によってどう昇華されるのか、次のアルバムを楽しみに待ちたい。