急にポエミーなタイトルでスタートしたけど許してほしい。
音楽はあなたをどん底から救ってくれる。暗い穴の底にいたとしても、明るくて楽しい地上にまで連れて行ってくれる力がある。音楽を明るい世界に連れ出された記憶は思い出となり、辛い時には思い出を燃料とすべく音楽を聴く。
去年の話だ。僕は念願叶ってやりたい仕事ができるポジションに異動したのに、大きなヘマをしてたった3ヶ月でその仕事を離れなければならなかった。これからバリバリ仕事をこなして成長してやるぞ!と息込んでいたにも関わらず。
仕事の量も責任もなくなり、同期の活躍を遠く方で見守る日々が続いた。正直どうすればいいのかわからなかった。もう仕事も辞めて実家に帰ろうかとも思った。
外にも出たくないし、大好きだった音楽も聴きたくなくなっていた。美味しいご飯を食べてもテンションが上がらないし、人とも会いたくないし、誰とも話したくない気分だった。本当にどん底だったんだな、と思う。
そんなどん底の去年の夏、友達に誘われて出かけたサマーソニックでThe HorrorsとSt Vincentのライブを観た。正直あんまり気分も乗らないし、できたら行きたいくないなと渋っていたのだけど、あんまり誘うものだから断れずに幕張に向かった。
控えめに行っても最高だった。憂鬱も何もかも全部吹っ飛んだ。
「音楽に元気をもらう」ってこういうことを言うんだな、と思った。
歌詞だけが音楽の力な訳がない
別に彼らの音楽は「落ち込んだ人を励ます」ような音楽ではない。歌詞が感動的なわけでもない。でも僕は彼らのライブパフォーマンスを見て、身体の内側から元気が湧いてきた。どん底から地上の明るい世界に連れて行ってもらった気分だった。
音楽を聴いて「この歌に励まされました!」と言う人に違和感がある。
大抵の「元気が出る歌」って、そもそも人を励まそうそして作られた曲だ。歌詞も「元気出して」とか「1万回ダメでも1万1回目は〜」みたいにわかりやすく人を励まそうとしている。それを音楽の力だと言う人もいる。それは構わない。確かに元気をもらうファンだっている。でもそんな分かりやすい歌詞の良さだけで「音楽の力」と軽々しく言って欲しくない。
僕は「歌詞」の意味だけじゃない、曲全体の雰囲気やアーティストのスタンス、そして圧倒的なパワーを感じることができるライブパフォーマンスにこと「音楽」の力があると思う。
高校球児が1球1球に全てをかける「入り込み」っぷりに感動する人は多いだろう。
音楽だってそうだ。特にライブはその一瞬に全部掛けているアーティストを見ていると、思考能力を全部持って行かれて「すげぇ・・・」しか思えなくなる。
今でもこの2曲を聴くとあの時の感動を思い出す。
あのサマーソニックでの記憶が燃料となって、元気が枯れてきた時に僕を前に進めてくれる。落ち込んだ時には元気をもらって、どん底から救い出してもらっている。
歌詞で音楽を聴くのもいい。でももっと幅広い音楽の聴き方もある。
聴くだけじゃない。ライブに足を運べば、さらなる感動が待っている。
歌を聴くだけじゃない。音楽そのものを好きになれば、もっとたくさんの感動を得られるはずだ。