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静かな美しさを味わう。イギリスのポストロックバンドKYTE(カイト)を聴こう

Sleepy head(@SleepyHead_blog)が今ぜひ押さえておいていただきたいアーティストを紹介するシリーズ、Music Heads第11回。

KYTE(カイト)というイギリスの4人組バンドをご存知だろうか。

ヴォーカルであるNick Moon(ニック・ムーン)を中心に活動するポストロックバンドである。最近ではニックのソロプロジェクトもスタートした。ソロプロジェクトから、KYTEというバンドを知った人も結構いるかもしれない。

ポストロックと言われてもピンと来ない人も多くいると思う。アイスランドのレジェンドバンド、シガーロスに例えられることが多い。

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それでもピンと来ないなら「冬の早朝の静かな湖畔を眺めている」映像を頭に浮かべてみて欲しい。

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そう、こんな感じ。その静かで美しい映像こそ、KYTEが作る音楽そのものである。

まずはこの”Sumlight”という曲から。

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聴いていただけただろうか、きっと「冬の早朝の静かな湖畔を眺めている」という意味がお分かりになられただろう。叙情的な美しいメロデイーがたまらない。2007年のデビューアルバム”KYTE”に収録されたこの曲を、20歳前後で作ってしまう才能。当時高校生だった僕は衝撃を受けた。

KYTEは日本にその才能をいち早く見つけられたバンド

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例えばこの“Boundaries”は2009年公開の映画「余命1ヶ月の花嫁」の挿入歌として起用された。(瑛太と榮倉奈々が出ていた、がんのため余命宣告された女性の実話をベースにした映画。)

日本のロックバンドであるストレイテナーのギターボーカルであるホリエアツシ氏も、お気に入りのバンドとして名前を挙げている。

参考記事

今年で結成20周年。ストレイテナーは日本で最強のロックバンドだ。

KYTEのヴォーカルであるNick Moon(ニック・ムーン)はソロ名義で2018年に日本デビューを果たし、アジカンのギターボーカルであるゴッチが運営するレーベル”Only In Dream”からアルバムリリースを行うなど、日本との繋がりが太い。

日本ツアーではツアー限定版である”Japan EP”をライブ物販で発売し、“Each Life Critical”のEnt Remix(ホリエアツシのソロプロジェクト)バージョンも収録された。

個人的には一番好きな曲だ。明るい曲調だけど、クリーンな音色のギターアルペジオが物悲しげになる対比がたまらない。

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当時大学生だった僕も参加したサイン会も開催されるぐらい、日本では本当に大人気を誇ったバンドだったのだ。

エレクトロだけど、バンドっぽさを残したミニマルな美しさ

打ち込みなどで環境音を活かしたりしてエレクトロな構成の曲が多いのだが、ギターのクリーンで美しい音色で弾くアルペジオや囁くような輪郭のない歌声が優しく包み込むような柔らかさを生み出している。

僕のイメージは「冬の早朝の静かな湖畔を眺めている」という感じ。寒い朝に誰もいない街を歩いているときなんかに聴きたくなるような、幻想的な雰囲気を感じる。

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あるいは「夜の散歩」にも向いているかもしれない。一人で人通りの少ない道を歩きながら聴くと、自然に幻想的な世界に突入できる。単なるリラックスミュージックにすぎない、エモーショナルなメロディやギターサウンドが魅力的なのだ。

最後に

残念ながら、現在バンドとしてのKYTEの活動は活発ではない。しかし、ヴォーカルのNick Moonがソロでの活動を始めた。先日日本でも”Circus Love”というアルバムを発売した。

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KYTEよりもポップでキャッチー、テンポも早めで聴きやすい。KYTEのシリアスな雰囲気は苦手だけど、ソロの作品は聴ける!という人もいると思う。

こちらの記事でソロプロジェクトについてはまとめたのでぜひ読んでみて欲しい。

イギリスのポストロックバンドKyteのフロントマン、Nick Moonがソロで活動をスタート!