THE FEARLESS FLYERS /// Colonel Panic
THE FEARLESS FLYERSの新曲”Colonel Panic”はまるで正確無比なマスゲームようだ。流れるようにスピードの中で繰り広げられる精密なプレイと各パートの掛け合いは、一つのミスも許されないプレッシャーの中、巨大な人の群れが織りなす美しいパフォーマンスを想起させる。
MV中では弦楽器パートとサックスパートが向かい合うように並び、Cory Wongのクリーンな音色の高速カッティングギターやMark Lettieriのファジーなギターソロ、Delta Forceと名付けられたサックス3人衆が点を打つように引き締まったリフが互いに絡みあう。忘れてはならない点はドラムのNate SmithとベースのJoe Dartが生み出す、曲の終わりを目掛けて猛進していく8ビートを基本としたリズムが管楽器と弦楽器のアンサンブルを繋ぎ止め、強固なグルーヴを引き締めている点だろう。
リズムが正確でテクニカルなフレーズを盛り込んだ音楽は、作曲ソフトを用いれば簡単に作れてしまうかもしれない。しかし、もはや職人とも呼べる腕が確かなミュージシャンが、音楽によって実像のないどう猛な生物を目の前に映し出しだす。彼らの音楽が単にリズムとテクニックの凄みだけで受け取れないのは、極限までタイトなリズムと無駄のないミニマルなリフをストイックさが生み出す有機的なファンクだからなのだ。