執筆実績はこちらから

Chi Yoon Hae “HANA 하나”

HANA 하나

 

僕は韓国のサイケデリックバンドParasolが好きだ。2018年に高円寺のライブサーキット企画に出演していた彼らのライブを見てからずっとお気に入りのバンドで、ベースボーカルで、ギターはサウンドの引き出しが多くて見ていて飽きない。ふわふわとしたサイケデリックポップを鳴らすParasolが僕の好みにドンピシャだった。しかしここ一年ぐらいは活動の知らせを目にすることもなく「いつの間にかフェードアウトしてしまったのか、せっかくいいバンドなのに」などと思っていた。

最近ではすっかりParasolが「記憶の端っこに追いやられた、昔好きだったバンド」になりつつあったんのだけど、先日暑くて何もやる気にならず、持て余した時間に何気なくポパイの音楽特集をパラパラと見返していたら、So!YoON!が紹介するプレイリストを発見。その中には、韓国のインディーシーンでひときわ輝くバンドSe So Neonのボーカルの彼女がコーラスで参加したという、Chi Yoon Haeというアーティストの曲がピックアップされていた。

その名前を見たとき「昔どこかでなんとなく名前を聞いたことがあるなぁ、全然思い出せないけど」と思った。でも、記憶に片隅に埋められるっぽいこの”Chi Yoon Hae”とは何者か気になってググってみたら、僕の大好きな韓国のバンド、Parasolのベースボーカルのソロプロジェクトだったのだ。なんだか久しぶりにParasolを思い出して嬉しくなり、早速Spotifyで彼の名前を検索して聴いてみた。それはそれは素晴らしい、ポップ成分が多分にブレンドされた可愛らしいサイケデリックロックで、僕の嗜好性にビタッとハマっている。

ParasolのベースボーカルChi Yoon Haeは、韓国ロックのゴッドファーザーことShin Jung Hyun(シンジュンヒョン)や、サイケデリックロックバンドの代表格、Sanullim(サヌリム)に影響を受けたという。そんな60~70年代の韓国ロックをレファレンスとしたことが伝わってくるような、歌謡曲を思い出させるドラマチックな歌のメロディー。さらにゆらゆらと滑空する紙飛行機みたいな軽やかでスローな楽曲の立て付けが優しく響いている。「チル」なんて言葉で形容するのは安っぽいけれど、酷暑が続く夏の夜に身体を休めながら無心になる瞬間に流れていてほしいチルアウトソングだ。