2018年もたくさん音楽を聴いた。音楽ブログを始めてから以前にも増してたくさんの音楽を探してきては一度試しに聴いてみる事が増えた気がする。
音楽好きならきっと「自分のベスト20」とか「2018年ベストアルバム50」みたいに聴いてきた音楽を整理して、今年楽しんだ音楽を整理する時間を取ると思う。僕も音楽ブロガーの端くれとして2018年聴いてよかった音楽をまとめて発表する。
本記事では「2018年に聴いたベストトラック20(日本/アジア編)」をご紹介する。
もちろんランキングは僕個人の直感と偏見で決めた。しかし「あーーこれいいよねぇ」とか「いやいやこの曲もっと順位上だろ」など共感したり反論をぶつけながら読んでいただけるとありがたい。
洋楽編はこちら→Sleepyheadの2018年ベストトラック20(洋楽編)
ちなみに : 「ベストアルバム20ではない理由」
「ベストアルバム」にせず曲単位でランキングを作った理由は、サブスクリプションの普及で細切れに曲単位で音楽を聴く事が増えたことで「アルバム単位で語れるほど聴いたアルバムが数えるほどしかない」ためだ。アルバム単位で語ろうと思えば相当な聞き込みが必要だ。出来なくはないのだけど、普段Apple Musicで好きな曲を細切れに聴いてしまう身としては、曲単位で語る方が性に合っている。
今回取り上げる20曲が収録されたアルバムは紹介と共に添えておくので、気になった方はぜひアルバムをまとめて聴いてみるのもいいと思う。
20位 浅井健一 & The Interchange Kills “Vinegar”
伝説のロックバンドであるブランキージェットシティのギターボーカルだった浅井健一を中心に結成された3ピースバンド。ベースに元ナンバーガールの中尾憲太郎、ドラムはカナダでバンド活動を行なっていた小林瞳。
1歩間違えると「ダサい昔のロックンロール」になりかねないような歌詞と、Aメロのワンコードのリフゴリ押しな構成。でも浅井健一の昔からのキンキンしたギターサウンドが曲全体の「イケてる感」をしっかり出している。
中尾憲太郎のベースもスピード感と勢いのあるベースでありながら、ハイフレットで鳴らしまくるソロパートっぽいフレーズもかっこいい。
19位 Mr.Children “Your Song”
中学生の頃から大好きな大御所バンドはやっぱり外せない。今年リリースされたアルバム「重力と呼吸」のリード曲である「Your Song」を19位に選んだ。
壮大でエモーショナルなメロディはいつまでたっても「ミスチル」なのに、それでも毎回どこか新鮮な印象を持たせてくれる。この曲はストリングスやピアノが入っているけど、MVやギター、ベースのフレーズなどから、どことなく「バンドらしさ」という部分にフォーカスが当たっていて好きだ。
18位 Phum Viphurit “Lover Boy”
ここでアジアからランクイン。タイのシティーボーイSSWであるPhum Viphurit(プム・ヴィプリット)の「Lover Boy」だ。
今年2度の来日ツアーを成功させ、STUTSとのコラボも好評で今アジアで一番勢いのあるシンガーソングライターと言っても過言じゃないと思う。
イントロのカッティングのギターが心地いい。気持ちいいメロディーはもちろん、ついつい身体が横に揺れてしまうリズムが素敵だ。天気のいい日に散歩しながら聴いてみてはどうだろうか。

17位 Gong Joong Geu Neul “Watchman”
正直、いまだにバンド名の読み方がわからない。韓国のロックバンドであるGong Joong Geu NeulのWatchmanが17位にランクイン。
今年6月に韓国へ旅行に行ったんだけど、その時に現地のライブハウスで観たバンドだ。バンド名から歌詞、MCや観客が話す言葉が何もわからなかったんだけど、この曲はなんだかノスタルジックで日本のシティーポップの流行とマッチする雰囲気を感じた。
多分日本でオススメしているのは僕ぐらいだと思う。これを読んだあなたはぜひ一度だけでも聴いてみて。

16位 Yaeji “One More”
NY生まれの韓国人アーティストであるYaejiの「One More」。Yaejiの魅力といえば「韓国語と英語のミックス」だ。
この曲でもMV中に韓国料理やハングルなど韓国のルーツを思わせる要素が盛り込まれているし、もちろん歌詞には韓国語が使われている。メロディーの乗り方が英語と違う。ミニマルなハウスのトラックに、どこかクセになる韓国語のリリックが楽しめる。

15位 Luby Sparks “Tangerine”
日本のインディーバンドであるLuby Sparksの「Tangerine」が15位。
男女ツインボーカルの掛け合い、コーラスのかかった印象的なギターフレーズ、すごく好き。
夏にライブを観にいったのだけれど、いい意味でその辺の日本のバンドとは一線を画しているバンドだと思った。各人のキャラクターはもちろんだけど、それよりバンドとしてのトータルの世界観で聴かせるあたりが全然違う。

14位 WOMAN “breaking dawn”
圧倒的センスにひれ伏してしまった。WOMANの「breaking dawn」。あんまり言いすぎると安っぽいのだけど「本当に日本のバンドなの???」とついつい疑ってしまう。
ジェイムス・ブレイクみたいなダフステップを思わせるサンプリングとピアノサウンド、でもどこか透明感のある世界観はなんとなく北欧を思わせる。この音をバンドで表現できることが素晴らしい。
13位 tofubeats “River”
音楽を聴く上で、あんまり歌詞を重要視しないのだけどtofubeatsの「River」はついつい歌詞を追ってしまう。
しかもラブソング的な歌詞なら尚更で、もう歌詞に自分を重ねたりすることもなくなってしまったのだけど「River」はちょっと感傷的な気分になってしまうぐらい聴き入ってしまう。
もちろんtofubeatsのトラックメイキング力もものすごいなぁと思いながら。よくも前半のピアノオンリーのメロから音を重ねて次々に展開させていくなぁ、と何様やねんと思いつつも感心する。
12位 んoon “Freeway”
「このバンド名、なんて読むんや」と思ったのが第一印象。「フーン」と読む。(「ん」がHの崩れた形、ということらしい)。「なんか怪しい名前だなぁ・・・」と思ったんだけど、曲を聴いてみたらその印象はガラッとひっくり返されてしまった。
ハープ?の音がから始まるキレのいいフレーズがおしゃれ。ボーカルの深い歌声がジャズのような雰囲気を生み出す。
きっとTendreだったりWonkのような、ソウルやジャズに影響されたサウンドが好きな人は是非とも聴いてみてほしい。
11位 Homecomings “Hull Down”
ものすごい名曲だ。今まで英語詩にこだわってきたHomecomingsが日本語詩で曲を書いている。個人的には「きっと日本語で曲を書けばバンドの雰囲気に合うだろうし、一度聞いてみたいなぁ」とは思っていたけれどここまでハマるとは思っていなかった。
全く違うバンドみたい。こんなにメロディーと曲全体でリスナーを惹きつけ続ける事ができるバンドだったのかと驚かされた。語弊はあるかもしれないけれど「くるり」になれるバンドだと僕は思う。グルーブとリズム、メロディーセンス、どれを取っても非の付け所がない。
10位 17歳とベルリンの壁 “複製品たち”
名前がなんとなく取っつきにくいから聴いていなかったけど、聴いたらめちゃくちゃ好みだったシリーズ。
先日ライブを観にいったのだけど、ギタリストの足元にはおびただしい数のエフェクター、轟音、男女ボーカルのコーラスワークが心地いい。いわゆるシューゲイザーバンドと言われていたりするようだけど、キャッチーなギターフレーズと特にコーラスワーク。爆音の中に聞こえる男女ボーカルが重なる快感あるよね。
9位 赤い公園 “消えない”
デビュー間もない頃にちょっと聴いてみただけだった赤い公園のボーカルが替わったらしいと聴いて興味本位で聴いてみたらめちゃくちゃ良かった。イントロのギターのフレーズから名曲を予感させるキレ。ボーカルも赤い公園の楽曲に負けないぐらいタフだし、可愛い。
8位 ニガミ17才 “ただし、BGM”
変態的なリズムと癖のある歌声でディープな層から支持されたバンド、嘘つきバービーのボーカルベースだった岩下優介が新たにスタートさせたバンド、ニガミ17才。
嘘つきバービーみたいな変態的な部分はちゃんと残しながらも、メロディーがよりポップに、構成もわかりやすくアップデートされてより多くの人に受け入れられる音楽を作っているなぁ、と思う。リズム隊の安定感が凄まじいので、岩下氏が苦手な人も一度トライしてみることをオススメする。

7位 OOHYO “Papercut”
韓国のシンセポップアーティストの新星、OOHYO(ウヒョ)のPapercutは何回聴いたかわからないぐらいリピートした。
ロンドン在住なだけあり英語歌詞も自然、もちろん韓国語バージョンある。キラキラしたシンセサイザーの音にすんだ美しい歌メロ。才能だよなぁ。

6. パソコン音楽クラブ “Inner Blue”
いわゆる”ヴェイパーウェーブ”の流れを感じ、パソコン音楽クラブの「Inner Blue」。
ノスタルジックで、郊外のショッピングモールや人工物を思わせるシンセサイザーの音。MVのせいかもしれないけれど夏に聴きたくなる爽快感も感じさせる。ノスタルジーと海、まるで熱海みたいな音楽だなぁと思う。今年めちゃくちゃリピートしまった。
5位 羊文学 “ドラマ”
これまでも書いてきたけれど「本当に日本のバンド??」と思うような、海外のインディーバンドのシーンにすっと馴染んでしまうようなバンドが増えてきた。けれど羊文学は「日本のバンドらしさ」をクールに表現していると思う。日本の音楽シーンにちょこちょこ見られる俗っぽさみたいなものが全く見えてこない。
初めて聴いたときはなんとなくSyrup16gを思い出した。いくつかのメロディーパターンのリピートと、後半のコーラスワークはとても日本のインディーバンドらしさを感じた。最近あんまりこの手のバンドにはハマらなくなっていたけれど、ドンピシャに刺さった。好きだ。
4位 くるり “その線は水平線”
リリースされた瞬間に「これは年間ベストに入らないわけがない」と確信した。だって20年以上のキャリアを持ったバンドがまだこんな素敵な曲をひねり出せるなんて、それだけで国宝だよ、と思う。
以下のように、くるりの岸田さんのnoteにはセルフライナーノーツが発表されている。そうそう、昔のくるりとか、日本のバンドに感じる日本らしいエモーショナルが詰まった曲だ。
Mark Kozelek(アメリカのシンガーソングライター)風の、少しスモーキーで燻んだ風合いの歌い出しだけど、コーラス部分では少しばかりMr.Childrenなんかを彷彿させるような、ドメスティックな温度感もある。
あまりこういうタイプの曲は書かないが、一筆書きで描いたこの曲は、このような曲想になった。「ハイウェイ」や「How To Go」などが好きで、くるりのことが好きになった人は好きだと思う。
引用元 https://note.mu/quruli/n/n4a79ce1623e2
3位 踊ってばかりの国 “Boy”
とうとうベスト3まで来た。読者の皆様は踊ってばかりの国「Boy」を聴いただろうか。まだ聴いていないのなら急いで聴いて今年のベストにねじ込んで欲しい。
ギターボーカルの下津氏の美しくって狂気じみたパンクスっぷりが存分に溢れ出た曲だと思う。サビ前のBメロからサビまでの流れはメロディーだけで泣ける。メロディー自体は美しいのだけど、内側に今にもぶっ壊れそうな心を抱えている、みたいなギリギリの曲って感じが好き。
夏頃にライブを観にいったのだけど、実際聞いたら案の定泣いてしまった。良すぎる。
2位 Ogre You Asshole “動物的 / 人間的”
とにかく良すぎる。こんなに「音楽に身を委ねる」と言う言葉が似合う曲を知らない。
日本のインディーバンドと呼ぶのもなんだか違うのかな、と思うぐらい孤高な存在で、どの音楽シーンにも属していないように思える。ゆらゆら帝国みたいなメロディーの反復の美しさがミドルテンポ表現されている。6分近くある曲も全然長く感じない、むしろ延々流していてもどこまでも聴き続けられるぐらい心地いい。トリップしてしまう感覚だ。
ぜひ年の瀬のゆったりした時間に、聴いてみて欲しい。
1位 Tempalay “どうしよう”
映えある一位はTempalayの「どうしよう」だ。この曲は本当にすごい。サイケデリックでありながらサビの物悲しさ、展開の面白さ、曲としての完成度が高すぎるのでは??と思う。もともとソロで活躍していて、シンセも出来るしラップも出来るAAAMYYYが加入したこともかなり大きな影響を与えたはずだ。
こういったサイケデリックに振り切ったバンドって日本のバンドシーンで売れることってあんまりない気がするけれど、Tempalayはそのポジションを築きつつある。ぜひこのまま売れ続けて日本のバンドシーンで存在感を出し続けて欲しい。

今年もたくさんいい音楽を聴いた!
ぜひあなたが気に入った音楽を添えてシェアしてもらえると嬉しい。
また「このランキングには入ってないけど、こんなのも聴いてみなよ!」などのオススメはいつでも大歓迎だ。自分が知っている音楽の何千倍もの量の音楽があるわけなので、是非とも知らない音楽を知るきっかけをもらえたらと思う。
洋楽編はこちら→Sleepyheadの2018年ベストトラック20(洋楽編)