Vaperwaveの派生ジャンルである”Mall Soft“を代表する存在である猫 シ Corp.をご存知だろうか。
遠い80~90年代のショッピングモールで流れていそうな、ソフトで攻撃的でない音楽が”Mall Soft“である。実は”Lo-Fi“はアルバムであり、全体を通しても17分弱ほどしかない。
個人的にはチルアウトミュージックとしておすすめしたい脱力感と、耳障りの良さがある。またはブログ記事を書くなど、作業BGMとしても優秀だ。
ぜひアーティスト名の怪しさを一旦無視して、音楽を聴いてみてほしい。きっと気に入ってもらえるはずだ。
どこか遠くの馴染みのないショッピングモール感
そもそも「猫 シ Corp.」ってなんなの?バグなの?誤字なの?と思うはずだ。僕も最初この名前を見かけた時「なんだこのアンダーグラウンド感の主張が激しい名前は…」という印象を持った。
個人的に猫が大好きっていうことと、あとはカタカナの“シ”をスマイルマークとしてよく使ってた。
日本語と、英語と、オランダ語を行ったり来たりしながら色々な言葉を翻訳にかけてたときに、突然、Cat SYSTEMってワードが出てきたのもある。
Corp.はコーポレーションっていう意味で使ってるね。日本を含むアジアって、ぼくたちにとってはミステリアスで神秘的な場所だから、もしも西ヨーロッパに日本企業があったら……なんて考えながら、Consumer And Telecom System Corporation、っていうフルネームもつくった。
TABI-LABOより引用
由来が適当なのか、きちっと考えられた名前なのかわからないけれど「支離滅裂な日本語を使う」というVaperwaveの基本をちゃんと抑えている。
上でも触れたが、ショッピングモールで流れているような穏やかな音楽をサンプリングを駆使したりして作る音楽が”Mall Soft“だ。猫 シ Corp.はVaperwaveから派生したMall Softの代表的な存在。
曲単位で語るというよりかはアルバム全体で一つの作品言えるアルバムだ。それぞれに大きな山場がある訳ではなく、淡々と穏やかながらビートの効いたショッピングモールミュージックが流れていく。
基本的には同じフレーズのリピート、原曲からダウンピッチさせたサンプリングから曲は構成されている。この辺りはVaperwaveと同じ仕組みで音楽が作られている。そのリピート感から、一聴すると「ヒップホップのトラックから、ラップを消したような」音楽に思える。
そんな穏やかで流れるようなMall Softを代表するアルバム”Lo-Fi“は、とにかくソフト。そこに猫 シ Corp.が作り上げる独特な世界観がある。もちろん、イオンモールで流れているかと言われればそんなことないのだけど。
だからといって、ノイジーでもないし、アンビエントすぎない。Vaperwaveのような、一般的には若干難解な音楽を聴きやすく噛み砕いたアルバムだ。
聴いている人を穏やかな気持ちにさせるし、作業の邪魔にならない。ぜひ作業BGMにマンネリを感じている人にはおすすめしたいアルバムだ。
Vaperwaveが好きならMacintosh Plusも抑えておくべき
