こんにちは、Sleepy head(@SleepyHead_blog)です。
今回はクラウドファンディングのCAMPFIREを作り上げた家入一真さんの最新刊
をご紹介していきたいと思います。
いやーしかし名著と言ってイイのでは、と思うぐらい
楽しみながら1日で読み終えてしまいました。
一人のアパレル業界に属する人間の立場としても
クラウドファンディングに関わる「小さな経済圏」や「信用」について
考えたことなどをまとめていきます。
小さな経済圏とは
本書に頻繁に登場する「小さな経済圏」という言葉。
個人や地域レベルで小さなつながりを持ち、支え合っているコミュニティーのことを「小さな経済圏」と呼びたい。
家入一真(@hbkr)さんの『なめらななお金が巡る社会』読んでる。
冒頭の「小さな経済圏」の話。
フォロワーが50人しかいなくてもその内5人が支援してくれるなら
そこに小さな経済圏が生まれる。いきなり心を掴まれた。 pic.twitter.com/ylrD5Po9CL
— Sleepy Head_blog (@SleepyHead_blog) 2017年8月29日
今現在でもより大きい経済圏を目指して国家や企業がすすんでいます。
それに対して、今自分がいる場所の周りのコミュニティー内で
いきていくための経済を回していくことができる
比較的少数の人たちで構成される集まりのことを
「小さな経済圏」なのだと思います。
この「小さな経済圏」に行き着くまでに
島根県の海士町という港町で出会った「生き方」が大きく影響していると
引用がこちら。
そして、何より僕の心を動かしたのは、この島で暮らす移住者たちが今のライフスタイルを手に入れるために、「自分はどんな生き方をしたいか?」という問いから逆算していることだ。
方法論としての「働きかた」ありきではなく(ノマド・起業・複業・・・)
理想の「生き方」から「働きかた」を逆算してくる
という考え方には僕もとても共感しました。
理想の「生き方」を起点に
(海が見える街に住みたい・満員電車に乗りたくない・・・)
理想の「働きかた」を導き出す。
「生き方」を真剣に考えたとき
それを達成する手段として「小さな経済圏」
という選択肢も、より身近で、より多くの人が選べるようになってくる
ということなのだと思います。
「大きいことはいいことだ」から「小さいことはいいことだ」へ
大企業やマイホームが「大きいこと」の例としてあげられています。
しかしシャープや東芝など、アパレルでいうなら三陽商会もレナウンなど
大企業はもう安泰ではないし、大きいが故に危険が襲って来ても身動きが取れない。
マイホームだって固定的で
地震や津波がきて全てが消え去る可能性のある文字通り「不動産」です。
日本が、「大きい価値観」から「小さい価値観」へシフトしていこうとしている
そんな時代に差し掛かっているということです。
この話を前提に、以下の引用を。
逆に小さな方が小回りもきくし、失敗しても失うものは小さいのですぐに立ち直れるし、違うと思ったら別の方向に歩き出すこともできる。
社会が不確実ないまだからこそ、小さいことのメリットが評価されだしたのだ。
今までは「小さな経済圏」を築く仕組みが整っていなかったわけですが
クラウドファンディングのCAMPFIREやフレンドファンディングと呼ばれるPolcaを
使いこなすことで、他人を巻き込み小さな経済圏を作り上げることが少し簡単になってきている、ということですね。
ただのお金の貸し借りではなく、他人との関係性や信用、はたまたアドバイス
を得ることもできるし、自分が与えることができる。
お金以外の価値がついてくるところに
クラウドファンディングなどの本当の価値がありますね。
信頼の時代
ウェブサービスやSNSなどにおける個人の評価が、金融機関の信用情報のように共有されていくだろう、と。
ますます個人としても企業としても、はたまた国家としても、ただ大きく、稼いでいれば良いだけではなく、人としてのモラルが求められる時代に入ってきてますね。 pic.twitter.com/5RCo6Thbxq
— Sleepy Head_blog (@SleepyHead_blog) 2017年8月30日
「小さな経済圏」の考え方に加えて「信用・信頼」というワードも頻繁に登場します。
評価経済における貨幣としての「信用力」。
UberやAirbnbなどはすでに起こっている現象で
評価の低いサービス提供者は検索に引っかからず、評価の低い利用者はサービスそのものが使えなくなる。
本書では「人間版SEO」と表現されている。
むしろ信用力が高いような人は、実際のお金がなくても
いざとなったら助けてくれる人がいる無数の「小さな経済圏」の中で
生きていくことができるということですね。
ツイッターやブログで発信していくことも結果的に「信用」につながり
セルフセーフティーネットともなりうる「小さな経済圏」という形を
作り上げているブロガーやインフルエンサーの方もいます。
アパレル業界として「小さな経済圏」
僕はこの本を読んでみて
「小さな経済圏」と「信用」がポイントだと感じたわけですが
アパレル/ファッション業界の立場からちょっとだけ考えてみます。
ご存知の通りアパレル/ファッション業界は
「大きいことはいいことだ」という価値観の典型的な例です。
半年に一回のペースでコレクションを発表した後に
毎月、場合によっては毎週新作を店舗に投入します。
消費のサイクルはものすごい勢いで回り続けています。
「大きな経済圏」の中でより大きくしていく動きを加速させ続けていますよね。
飛ぶ鳥を落とす勢いのブランド、ヴェトモンもそんなファッション業界に
異を唱えています。
もちろんブランドを一つ立ち上げるには
「大きくならざるを得ない」という事情があります。
従来の流れですと
・デザインを上げて、サンプルを作る。
・展示会を開き、受注を受けて生産する。
・実店舗を持つかセレクトショップに下ろす。
の、くりかえしです。
たくさんの人とものを動かして行かなければなりません。
お金を必要になってきます。
しかし、このサイクルをカバーして支援してくれるSTARtedというサービスも
CAMPFIREが提供しています。
STARedは、IT×ファッションの技術を組み合わせた、イラストをアップロードするだけでオリジナルアイテムの製造ができるインターネット上の工場です。
個人や法人を問わずアイデアさえあれば、誰でもアパレル商品を作ることができます。
メンズ、レディース、キッズ、犬服や衣装、バッグなど様々なアパレルアイテムの生産が可能です
デザインはできるけれど
・どうやって受注を取るのかわからない
・どこで売ればいいのかわからない
・量産する工場が見つけられない
といったような悩みを解決し、ブランド立ち上げの手助けをしてくれます。
おそらく、有名なブランドや大きな企業はこのサービスを使う必要なないですが
それこそ「小さな経済圏」で機能するサービスなのではないでしょうか。
まとめ
まだまだ引用したい話がたくさんあります(バーニングマンやカルマキッチンの話やプラットフォームとしての考え方など・・)
現状の「大きな経済圏」で苦しんでいるような人にとっては
救われることもある内容だと思います。
いつまでも経済的成長を強制され、自分を見失うことも多く
結果心が病んでしまうことも少なくありません。
「小さな経済圏」を作りやすい、飛び込んでみやすい環境が
整うことで、今もがいている人も動き出すきっかけになるかもしれません。
アパレル業界も、大きなラグジュアリーブランドに対して
不信感を持つ流れがあります。
(ストリートブランドの人気をとっても、モードなラグジュアリーが力を失っているのははっきりしています。)
カウンターカルチャーとしての、「小さな経済圏」を作り上げるブランドが
いくつも出てくるでしょうし、そうなってほしいなと考えています。
まだまだ書きたいことがありすぎるので、別記事でこの本について
書くかもしれません。
では!
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