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カルチャーは無駄だ。だからこそ素晴らしい。

カルチャーは無駄だ。音楽がなくても、小説がなくても、映画がなくても生活は続いていく。

普通の人は毎日仕事をこなし生活費を稼いで、必要な栄養素を取り、それなりの睡眠を取っていれば生きていける。生活をするだけならカルチャーが無くたって別になんともなる。

僕は音楽を中心したカルチャーが好きだ。だから好きな音楽を扱うブログを更新したり、好きなバンドが来日すれば会場に駆けつけるし、音楽を愛している人たちと飲む酒が大好きなのである。

しかし、10月中旬から今まで1ヶ月間、ほとんど音楽を聴いていなかった。ブログだって更新できていない。それまでほとんど毎日更新していたブログでさえ手につかなくなるぐらい仕事が忙しく、精神的にも参った1ヶ月間だった。仕事柄海外に行くことが多く、必要な準備に忙しくなり、カルチャーに割く時間とエネルギーがどんどん少なくなった。

今はだいぶ落ち着いてこの通り記事を書いているわけだけど、カルチャーどっぷり人間が、カルチャーに触れることすらできないぐらい忙殺されて気がついたことがある。

それは「カルチャーは無駄だ。でもだからこそ素晴らしい」ということだ。きっと同じく音楽マンガ映画などカルチャーにどっぷり浸かった人なら共感してくれると思う。

カルチャーを楽しむ余白が心の中にあるか?

もちろん本当に「無駄」だとは思っていない。カルチャーは「無くても支障なく生活できるけど、人生をより豊かにするオプション」だと僕は思う。

実際この1ヶ月間、音楽をあまり聞かずに過ごした。とはいえ、特に何かが変わったわけじゃない。別に音楽がなくたって平気で生きていけるのだ。生活に必要なお金が底をついて無くなってしまえば精神的にも肉体的にもかなり参ってしまうだろう。でも音楽がなくてもなんてことない。

「No Music, No Life。音楽がないと生きていけない!!!」なんて言う人をたまに見かけるけれど、そんなのはウソだ。無くても生活できる。プロのミュージシャンや、音楽業界に携わっている人は音楽がなくなれば困るかもしれないけど、一リスナーぐらいのレベルなら音楽がない生活になんてすぐ慣れてしまう。仕事が忙しくなって時間が割けなくなる、結婚や転職など環境が変わりなんと無くカルチャーから離れてしまう、など世の中音楽以外に忙しいことが多い。

僕の場合は急にバタバタと仕事に忙殺されてしまい、音楽をはじめとしたカルチャーを楽しむ余裕がなくなってしまい、音楽を聴かなくなった。心の中にある「無駄なもの」を楽しむ余白が、完全に黒く塗りつぶされてしまった感じ。

つまり「いくらカルチャーが大好きな人でも、きっかけ一つで案外簡単にカルチャーから離れてしまう。でもカルチャーがない人生は豊かとは言えない」だと僕は思う。

無駄を楽しめる人生は豊かだ

生活する上で必ずしも必要ではない「カルチャー」を楽しめる状態はとても豊かな精神状態だと思う。

なぜなら心や身体の平穏が保たれていなければ、心から楽しむことができないから。

上司に詰められまくって、締め切りに追われまくって、毎日残業して、体調を崩しているような状態だったら「あのバンドの新譜聞かなきゃ!」「そう言えば来週好きなバンドのライブだ!行こう!」なんて気持ちにとてもじゃないけどなれない。仕事に追われて余裕をなくした時、大好きな音楽のことよりも「早く帰って寝たい。何にもしたくない。」と僕は思っていた。

音楽を聴こう、なんて気持ちにならないどころか、そもそも音楽にまつわる情報をキャッチすることすらできなくなる。

もしあなたが毎日「来年のフジロックのメンツがどうなるのか」「ボヘミアンラプソディーが最高だった」「早くあの漫画が読みたい」など好きなカルチャーについて考え、楽しみ、考察する余裕が心にあるなら、それはきっと豊かな生活だ。

ちゃんとカルチャーを楽しむための精神的な余白を心の隅っこにキープできるだけの生活を送れているわけだから。

無駄なことに価値を見出す心を守る

「息を吐くようにカルチャーを追いかけ、楽しむこと」が生きがいであり、救いである僕らみたいな人種は、心と身体の余白を全力で守らなければならない。

多くの人はカルチャーに深い興味を持ってるわけではないし、あなたの興味を理解してくれないかもしれない。

仕事絡みだと特にそうだ。気がつけばしょうもない飲み会や残業や人間関係に心も体も消耗してしまう。時間だって簡単に奪われてしまう。だからあなたはあなたのカルチャーを楽しむ余白をしっかり守りぬく責任がある。

ある意味音楽でも小説でもなんでもいいけれど、もしお気に入りの作品があるなら、あなたは「他の人には理解されない価値に気がついた人」たちだ。

無駄に価値を見出す余裕と審美眼をしっかり守りながら、カルチャーを楽しんでほしいと思う。