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【Music Heads Vol.3】超絶技巧なミニマルファンクバンド、VULFPECK(ヴルフペック)

こんにちは、Sleepy head(@SleepyHead_blog)です。

今あなたに聴いてほしい音楽をご紹介するシリーズ“Music Heads”第三回です。

前回は80’sのディスコサウンドを今っぽくアップデートしたドイツのプロデューサーMarius Lauberのプロジェクト”Roosevelt“をご紹介しました。

ディスコサウンドの影響も感じられるようなリズム感が特徴的なバンドでした。

ご存知の方も多いかと思いますが、リズムやフレーズなど、ディスコミュージックというのはファンクというジャンルから強い影響を受けています。

今回はミニマルファンクと呼ばれるシンプルなバンド編成で、冬の時代が続いたファンクを今っぽい音楽にアップデートしたアメリカのバンド、VULFPECK(ヴルフオペック)をご紹介。

第一回(Men I Trust)はこちらから!!!

第二回(Roosevelt)はこちらから!!!

VULFPECK

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LAの4人組ミニマルファンクバンド、VULFPECK(ヴルフペック)。

メインメンバーの他にサックスやボーカルなどのゲストを招いて多岐にわたる音楽活動をしています。僕は最近YouTubeで他のバンドのライブ映像を見ていた時にたまたま知ったのですが、このDean Townを聴いた瞬間に「これだ!!!」となりました。

ファンクといえば60年代から80年代にディスコブームに取って代わられるまでの間、一世を風靡した音楽ジャンルの1つ。その技巧でポップさをうまく混ぜ込み、僕のようなファンクについて造形が深いわけでもない人間でも惹かれるサウンドを鳴らしています。

日本のバンドシーンでも圧倒的なポジションを確立したサチモスも「理屈抜きでいい」と絶賛

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The Funk BrothersやThe Wrecking Crewなどのモータウンサウンドから影響を受けているとインタビューで答えています。ソウルミュージックながらもポップネスを取り入れた音楽。

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僕はベースを弾くので、どんな音楽を聴くにしてもベースの音が気になってしまうのですが、Joe Dartの弾くベースは恐ろしさを感じるぐらいの音粒の揃い方。複雑ながらも引き込まれてしまうメロディーライン。Dean Townのベースはイントロで流れてくる16分ルート引きを聞いてほしい。ベースラインがどっしり構えたボクサーのようで、ぶれない安定感をひしひしと感じます。クレイジー。

ライブが最高にクール

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こちらがアイルランドはダブリンで行われたライブの模様。見ていただけたらお分かりになりますが、観客がベースラインのメロディーに沿ってみんな歌っています。しかも複雑で動きが激しいベースラインで、覚えることだけでも一苦労しそうなフレーズを一曲丸ごとです。こんなライブ見たことがありません。

バンドのリーダでもあり、ドラマーのジャック・スタントンもインタビューのなかで「ベストのライブ。観客がベースラインや、ドラムのリズムを歌っていて、僕らが演奏しなくってもいいかと思うぐらい」と語っています。

Sportifyの裏をかいてツアーの資金を集める

リーダーであるジャック・スタントンはメンバーのなかで唯一音楽ビジネスにも関心が強いそうで。有名なエピソードですが、ツアーの資金をスポーティファイの裏をかいて集めています。

2014年、VULFPECKはツアーの資金を集める方法を模索していました。そこで1曲30秒ほどの10曲入りの”Sleepify”というアルバムをアップします。しかしどの曲も無音。「寝てる間にこのアルバムを再生してほしい、そうすれば入る印税でチケット代無料でライブを行う」とファンに依頼しました。しかし一再生あたり0.15円ほどしか印税が入らないSportify。1時間あたり約18円と少額ではありますが、同時にたくさんのファンが再生すると莫大な金額となります。結果2万ドル以上の資金を集め、無事彼らにとって初のツアーはチケット代無料で行われました。(その後Sportifyは事前説明なくこのアルバムを削除、現在ではこの方法は使えなくなってしまったようです)

ツアーの資金を集めるためを使ったツアー資金の集め方は非常に注目を集め、彼らのファンベースはさらに拡大しました。今でこそメジャーとなったクラウドファンディングのような方法をすでに2014年時点で見つけ出したセンスに脱帽です。

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またVULFPECKのミュージックビデオなどで使用されているオリジナルフォントを売ったり、ベースのジョーダートのバブルヘッド人形などを作成し販売するなど、「音楽で生活していきたい」という彼らの目標を達成するために様々な手段を編み出しています。

全ての活動を自分たちのみで行っているので、レーベルなどにマージンを取られることもありません。バンド活動を続けていく中で「レーベルと契約して、マネージャーをつける」ことだけは絶対にしないと話しているぐらいです。

DIYの精神を感じますし、アーティストとファンとの間にある「ビジネス」をすっ飛ばして直接的なコミュニケーションが取れる時代の流れをポジティブなものして捉えています。日本でもこういったスタンスで活動するミュージシャンが増えてくれば面白いですね。

様々なミュージシャンとの協業がいい音楽を作る秘訣

コンピュータで作曲ソフトを使い一人で宅録しながら曲を作りあげるスタイルは、現代では非常にポピュラーな作曲方法です。しかし、一人で音楽を作りあげる方法がフィットしないといいます。

「偉大なミュージシャンとともに作曲し、演奏することで魔法がかかる瞬間を目の前で感じることができる」とジャック・スタントンが答えるように、デイヴィット・T・ウォーカーをゲストに招いて楽曲を作ったり。(マイケル・ジャクソンやジャクソン5、日本では井上陽水やドリカムなどの楽曲に参加しているレジェンドです)

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最後に

日本でも昨年2017年にアルバムがリリースされています。(ジャックが言うには「日本で有名なデイヴィット・T・ウォーカーと一緒に活動したから」声がかかったそう)

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こちらのAnimal SpiritのMVには日本語字幕が付いています。ダンスが可愛いので是非聴いてみてください。来日はまだ叶っていないようですが、もし日本に来ることがあるのなら確実にチェックしておきたいバンドです。 

僕も最近知ったばかりで「ファンクとはなんぞや・・・?」状態で聴いてみたのですが、圧倒的にかっこいいし人を惹きつけるポップさがあります。

「ファンクとかよくわからん古いジャンルでしょ?」と思うあなた。一度聴いたら止まらなくなります。是非あなたの音楽の幅を広げるきっかけにしてもらえれば幸いです。

本日の【Music Heads】はここまでです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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