カリフォルニア出身のアーティストCameron LewによるソロプロジェクトGinger Rootが2020年10月23日に3rdアルバム『Rikki』をリリースした。
大学では映像系の学科を専攻しながら音楽活動に励み、現在はMVのディレクションからインスタグラムに投稿するショートムービー、またアートディレクションまで自分でこなす強靭なDIY精神から作品を生み出すアーティストだ。
今回Sleepyhead_blogでは、アルバムのリリースに合わせてZoomでインタビューを実施した。最新アルバム『Rikki』のコンセプトや、彼が自称する音楽ジャンル”Aggressive Elevator Soul”について、また彼の底なしに溢れ出てくるクリエイティビティーについて語ってくれた。
ニューアルバム『Rikki』「記憶」を巡る作品
– まずは先日リリースされたニューアルバム”Rikki”についてお伺いします。個人的には2020年リリースされたアルバムの中でも随一の作品だなと思っています。インスタグラムのポストで「Rikkiは記憶(Memory)をテーマにした作品だ」と言っていましたね。「記憶」という概念を追求しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
Ginger Root – いい質問だね。”Rikki”に収録された曲は「記憶」が「どのように変わっていくのか」といったことや「人生のある時点で思い出される」ことを表現したコンセプトなんだ。年を取れば記憶は変わっていく。多くの人は年を重ねるに連れてそういった経験をするし、大事なことや愛する記憶を失っていくことに恐れていると思うんだ。僕は自分が年をとっていくことを単に恐れていたんだと思うし、他のみんなもそうだと思っていたよ。『Rikki』の収録曲はそういった記憶の変化に言及しようとしている。
僕らはほんとうに大事に思っていた記憶を失っていくことを恐れているし、君だってそうだと思う。でも記憶はいつかぐるっとまわって帰ってくるんだ。アルバムに”Rikki”と名付けたのも、子供の頃に読んだ本のタイトルが自分が覚えていた名前と全く違っていたんだ。僕はきちんと正しい名前で覚えていたつもりだったのに。この経験が僕にとっては大きくて(日本語で)「びっくりしました」。子供の頃の大切な記憶をどのように忘れてしまったか自分でもわからなかったけど、アルバム全体でこのような記憶の変化について表現しているよ。
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– アルバムタイトルの”Rikki”と名付けた経緯については僕もお聞きしたいと思っていました!インスタグラムの投稿で「マンデラ効果」だとおっしゃっていましたね。アルバムのコンセプトは曲を制作する前から設定されていましたか?あるいは制作した後に思いついたのですか?
マンデラ効果 – 事実と異なる記憶を不特定多数の人が共有している現象を指すインターネットスラング、およびその原因を超常現象や陰謀論として解釈する都市伝説の総称。Quoted from Wikipedia
Ginger Root – コンセプトを作り上げるには長く時間をかけたね。完全にアルバム制作に取り掛かる前とも言えないし、その後とも言えない。制作途中に徐々に定まっていたんだ。同じ事柄について曲をよく書いていることに気が付いて、たまたまさっきの本を見つけたんだ。そして”記憶”というコンセプトにコミットしようと決めた。アルバムを作る前でもなく。作った後でもない、制作途中に作り上げられたコンセプトなんだ。前作の『Mahjong Room』と比べると、短い時間の間にまとめて曲を書いているんだ。だから楽器やボーカル、歌詞にこれまでよりも統一感が出ているよ。
– なるほど!そういったコンセプトの練り上げ方をいつもされるのですか?
Ginger Root – 正直”Rikki”が初めてだったね。当初プランしていたよりもコンセプチュアルな作品に仕上がったよ。僕はまだ3枚しかアルバムをリリースしていないし、ファーストアルバムはGinger Rootとして初めて作った作品だしね。セカンドアルバムの”Mahjong Room”はコンセプトを持たせる必要性をあまり感じなかったんだ。でもその後、Ginger Rootがどんなサウンドで、どんなタイプの音楽にしたいか、わかったんだ。そして。コンセプト、サウンド、歌詞、作曲が一つの作品にきちんとまとまったアルバムを作ったんだ。
このアルバムに関して言うと、最初の段階から「Ginger Rootとは何か?」について考え抜こうとした作品と言えると思う。
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– もともとコンセプトアルバムを作りたい!という気持ちはありましたか?
Ginger Root – いい質問だね。僕は単に曲を詰め合わせた作品よりも、作品自体に一貫したプランがあるアルバムを作るアーティストやバンドを好む傾向があるよ。そんなタイプの作品のファンとして、コンセプトアルバムを作りたいとずっと思っていたんだ。アルバムは結束力のある一つのまとまりだと思っているし、『Rikki』は僕の試みが上手くいったんじゃないかと思った最初のアルバムだ。いつも手直ししたくなることがあったんだけど、このアルバムに関して言うと、最初の段階から「Ginger Rootとは何か?」について考え抜こうとした作品と言えると思う。だからパッケージングされたコンセプトアルバムを作ろうとしていた訳ではないけれど、Ginger Rootであることに以前にも増して居心地がよく感じされるようになったね。結果的にこれまでよりもコンセプトについて考えることに時間を割けるようになったことも事実さ。
– Ginger Rootとして居心地よく感じられるようになった『Rikki』を制作する上で、影響やインスピレーションを受けたことはありますか?
Ginger Root – 音楽を作るときはいつでも、自分がしていることや聴いている音楽、観ているものに影響を受けていると思う。音楽だけじゃなくて、何かを学んだり、観たり読んだりすることがインスピレーションになるよ。だから去年はツアーに回っていて、1ヶ月ツアーに出たと思ったら1ヶ月家で過ごして、またツアーに出かけるみたいな生活をしていたせいで何をしていたか曖昧であまり思い出せないんだ。全てブレンドされて一つにまとまってしまったんだ。ただ、自信を持って言えることは『Rikki』はGinger Rootで鳴らしたい音そのものだと言うことだ。「Ginger Rootはこんな音を鳴らしていたい」と言う音楽に最終的に近づけられたんだ。
この作品に対する影響を具体的に示すのは難しいけれど、ファンクやソウルが好きだし日本の音楽もたくさん聴くよ。あと60年代のフランスの音楽も好きだね。そういった隅々までいろんな音楽を拾い上げて、一箇所に投げ込んで、録音しようとしているよ。
言葉を話したり、読んだり、理解しようとすることを含めた、語学自体が大きな影響があると思う
一曲ずつお聞きしていきたいのですが、まずは”Le château”からです。フランス語が正しく発音できているかわかりませんが…
Ginger Root – 大丈夫、僕もだよ。笑
– ありがとうございます。笑 なぜフランス語のタイトルを曲につけたのか、曲の最後にフランス語の会話がサンプリングされて挿入されていると思いますが、なぜなんだろか?と思っていました。作品を作っている時に観たフランス映画や音楽の影響ですか?
Ginger Root – ”Le château”を書く前に作っていた曲のことを思い出すよ。その頃はフランス音楽をたくさん聴いたり、セルジュ・ゲンスブールなどの映画を観ていたんだ。当時の僕にはフランスの音楽や映画が暖かく感じられたし、甘いサウンドで愛に溢れているように思えたんだ。そんなフランス音楽を初めて聴いた時に感じたことを曲として表現したかったんだ。曲の最後ではフランス語の会話が差し込まれているのは理由があって、今僕は日本語を勉強しているんだけど、その前はフランス語を勉強していたんだ。それでフランス語勉強のための音声が入ったカセットを持っているんだ。正直僕はフランス語はほとんどわからないし、理解するのはとても難しい。だから全部聞いてみて面白そうに聞こえる部分を取り出してスマートフォンに吹き込んで英語に翻訳して理解しようとしていたんだ。とにかく、当時フランス音楽を聞いた時の印象を表現するためにこの曲を書いたし、フランス音楽への愛着は常にそこにあるよ。
– 意識的に、あるいは無意識でさまざまな影響を取り入れているんですね。最近日本語を勉強されているとお聞きしました。先日のYouTubeでのストリーミングライブを拝見したのですが、日本語で話されているシーンがありましたね。フランス語同様、日本語学習が『Rikki』に影響を与えたことはありましたか?
Ginger Root – 日本語勉強を始めたのは、このアルバムをレコーディングしたあとだったね。でも確実に僕のクリエイションに影響を与えているよ。アメリカは(コロナウイルスのため)ロックダウンされて、時間はたくさんあったから曲を書いたり日本語を勉強し始めたんだ。高校生のころは日本の音楽をたくさん聴いていたこともあって、日本のシティーポップや日本の古い音楽の無意識的な影響が『Rikki』にはあるはずさ。でも、言葉を話したり、読んだり、理解しようとすることを含めた、語学自体が大きな影響があると思う。書いている曲や曲の書き方などにもね。これまで考えたこともなかったから説明するのは難しいけれど。でもいい質問だね。
”Rikki”を作曲していた時は日本語は勉強していなかったけれど、今製作に取り組んでいる曲には何らかの影響があるはずだよ。そこまで大きなものではないけれど、確実にあるはず。デザインやアートワーク、アルバムカバー、あとはグッズにもね。日本語を勉強し始める前までは日本語自体を読んだこともなかったし、みたこともなかったんだ。だから英語をレイアウトする時には考えもつかなかったやり方で日本語をレイアウトすることもできたし、インスピレーションになったよ。
– そうなんですね、新しいアルバムや曲を楽しみにしています!確かカタカナを使ったインスタグラムのポストがありましたね。僕も英語を独学したので、語学を学ぶ時の難しさやその楽しさは少し理解できる気がします。
Ginger Root – 面白いのは、昔小学生だった僕は家族に中国語の勉強をさせられて学校のあと中国語のプログラムを受けさせられていたんだ。僕は嫌だったんだけどね。漢字を勉強していた時のことを思い出していたよ。意味は一緒なのに、発音が全く違ったり。日本語を勉強していた時に、昔中国語を勉強していた時のことがふと蘇ってきて、不思議な気持ちだったよ。互いに似ている点はあるけれど、全く違う言語なのにね。音楽や映像以外の何かを学んだり、そのために時間を投資するのはとても楽しいよ。たぶん語学は音楽と映像以外に学ぼうと思った最初のこと。新しくて、全く知らないから楽しむことができる。だから難しい、でも楽しんだ!
この曲の歌詞は、人生において周囲の人が「なぜそんなにも一生懸命トライするの?」とか「なぜ好きなことのためにたくさんの努力をするの?」、「なぜそこそこで終わらせようとしたり、諦めたりできないの?」と聞いてくることを歌っている。
– 確かにその姿勢はGinger Rootらしいし、アルバムにも反映されているように思えます。これからは一曲一曲の話に戻っていきたいのですが、”Why Try”についてお聞きしたいと思います。個人的にアルバムの中で一番好きな曲なのですが、Toro Y Moiのようなチルウェーブの響きが感じられるかと思えば、タイトなリズムセクションとベースソロのファンキーな重厚感があります。さまざまな音楽的な要素や影響を一つの音楽にまとめ上げているかと思いますが、どのように「Ginger Rootらしさ」を出されていますか?またリズムについてこだわりがありますか?
Ginger Root – 確か”Why Try”は曲のグルーヴから作り始めたと思う。グルーヴやリズム、あとはブレイクはGinger Rootにとって大きな部分を占めていることだよ。以前ある作曲手法を使って曲作りをしていたんだけど行き詰まってしまって、映画のようなプロットを作る方法でどのように作曲するか考えていて、その時”Why Try”のヴァースを思いついたんだ。そのあともう一つ作って、そのあとブレイクの部分を作り出したんだけど、リズムセクションに関するディテールがたくさんあるんだ。とてもタイトで、そのあと静かに抑えたあとパッと開ける。そのあと歪んだベースが入ってくる。僕はストーリーを語るような曲が作りたかったんだ。
歌詞もそのストーリーを構成する要素さ。この曲の歌詞は、人生において周囲の人が「なぜそんなにも一生懸命トライするの?」とか「なぜ好きなことのためにたくさんの努力をするの?」、「なぜそこそこで終わらせようとしたり、諦めたりできないの?」と聞いてくることを歌っているから、曲名は”Why Try”なんだ。Ginger Rootを始めた最初の頃はたくさんの人が「なぜそんなにGinger Rootのことに真剣になっているの?」と聞いてきたんだ。「なぜそんなにもGinger Rootのためにたくさん努力をするのか?」とね。そんな人たちに、”Why Try”のなかで「僕はなぜトライするのか、どんなことにトライしているのか」を語っているんだ。
そして、リズムセクションが入ってくるとさらにもっとリズミカルな音楽に変わっていくんだ。”Why Try”はさっき挙げた疑問に対する答えなんだ、アルバムの中心に据えられているね。アルバムの前半と後半を橋渡しするような位置付けの曲さ。前半と後半にはそれぞれ違っていて、二つをつなぎ合わせる曲なんだ。
– なるほど!コーラスで歌われている歌詞の”Honestly, I don’t know why you try?”「正直なんでそんなにチャレンジしているのかわからない」は周囲の人からあなたに投げかけられた問いだったんですね。
Ginger Root – そうだね、友達だったり家族、クラスメイト、あとは僕が全然知らない人がそんな感じで言ってくることもあるね。
僕らは思い出の一番いいところだけを記憶している。たいていは一番いいところか一番嫌な部分を覚えていて、中間の記憶はなかったりする。だから僕は同じことをそのビデオクリップにしたかったんだ。
– 周りの声を振り払って前に進む、自分のやりたいことをやろうとしているんですね。続いてアルバム全体、または曲単体に広がるストーリーについておうかがいしたいのですが、まずはアルバム最後の曲の”Rikki”についてお聞きしたいと思います。この曲を聞いた時ノスタルジックな気持ちになったのですが、曲の冒頭に中国語と英語が混ざった声が聞こえてきます、あなたとあなたの母親の声かな?と思っていましたが、この部分は子供の頃のビデオから持ってきたのですか?
Ginger Root – 実はこのアルバムのコンセプトの大部分は僕の子供の頃のビデオからきているんだ。僕は10歳ぐらいの頃太極拳を習っていて、”Rikki”の音声は僕が黒帯を得るための試験を受けていた時のものさ。アルバム全体は”記憶”がテーマだったから、この音声を使いたかったんだ。”Rikki”の曲で使われている音声を聞くと、脚を振り下ろす音が聞こえたと思うけれど、僕は頭を打ってそのまま地面に倒れ込んだんだ。でもそのとき僕の母親が「あなたならできる!」と言ったんだ。
この個人的なエピソードをアルバムに入れたかった理由はうまく説明できないんだけれど…このクリップは本来の映像よりも短く編集されているよね?もともとは1時間ぐらいある映像なんだ。僕はその1時間の中からいい30秒ぐらいの部分をいくつか切り取り、つなぎ合わせたんだ。それは短くするためにやったことではあるんだけど、アルバムのコンセプトに関わる「僕らは、どうやって物事を覚えておきたいように記憶するか」を表現しているからなんだ。僕らは思い出の一番いいところだけを記憶している。たいていは一番いいところか一番嫌な部分を覚えていて、中間の記憶はなかったりする。だから僕は同じことをそのビデオクリップにしたかったんだ。アルバムに入れたかった部分だけ切り出して編集する。僕はこのアルバムのコンセプトを自分の記憶で証明したかったんだ。
– アルバムのコンセプトがよく現れた曲ということですね。”Rikki”の最後のパートにはアルバム1曲めの”Friend”のアコースティックギターの弾き語りが挿入されていますね。これも「記憶」を巻き戻すような」感じがして、コンセプトに関わるように思えます。そのような意図はあったのでしょうか。
Ginger Root – その通りだよ。最後に”Friend”のサビのボーカルラインを入れたかったんだ。でも、もう少し悲しさや寂しさを感じるような雰囲気にしたかったから少しだけスローにしたよ。同じようなことが記憶にも起こりうるからね。僕らは何かを覚えるんだけど、それは実際と少し異なった形で記憶される。実際にぴったりその通りに覚えてることはないんだ。最初からアルバムを聴き返すとき、最初から聴き始めると”Friend”のボーカルのメロディーはきちんと覚えていられるはずさ。そして最後まで聴いて、最後の”Rikki”までたどり着くと、最初に聴いた”Friend”と少し違って物悲しく孤独な感じがするメロディーが聴こえてくる。それはアルバムコンセプト全体に入り込んでいくんだ。質問の通りで、30分程度のこのアルバムを聞いた人にノスタルジックな経験をして欲しかったんだ。
– 僕はすでにノスタルジックな感覚を覚えたのですが、そうなるとオリジナルの曲順はかなり重要になってくるように思えます。
Ginger Root – とても重要だね。最初の曲から最後まで元の曲順で聴いてみてほしい。
確か50人ぐらいの知り合いにお願いしたんだけど、誰も撮影の日に来れなくて。映画のセットみたいなオフィスを借りていたからパニックになったよ。
– MVの話に入っていきたいのですが、”Karaoke”の映像のアイデアが面白いなと思いました。あなたがオフィスで仕事をしつつ、フリー素材の”Stock Image”から取ってきたビジネスパーソンの写真を等身大にプリントアウトした「同僚」と働いていますよね。このストーリーのアイデアはどのように作ったのでしょうか?
Ginger Root – きっかけは思い出せないのだけど、確かツアー中の車移動時間が長くて、みんなで話をしていたんだ。でも話すことがなくっていろんな話題を見つけ出したんだよね。その中で「カラオケで歌うことにめちゃくちゃ緊張している人のビデオを作ったら面白いんじゃないかな」と言ったんだ、実際そこまで面白いアイデアではないんだけど、その時はとても面白かったんだ。そしてMVを作る必要があったときに、そのアイデアを思い出して肉付けし始めたんだ。そして「もし僕がオフィスビルで仕事していて、上司にカラオケでアピールする」みたいな話はどうだろう?と思ったんだ。カラオケが上手で、昇進する、みたいな。クレイジーだけど面白いよね。上司が退職して、オフィス全体のカラオケ大会で優勝する。そして昇進したあと、会社のオーナーになるんだ。
面白いのが、このビデオを撮影するために”Stock Image”の代わりに本当の人間をキャスティングしようと思っていたんだけど、ある理由で誰も予定が空いてなかったんだ。確か50人ぐらいの知り合いにお願いしたんだけど、誰も撮影の日に来れなくて。映画のセットみたいなオフィスを借りていたからパニックになったよ。レンタル費も支払っていたし、どうやってそのオフィスを人で埋めればいいのかわからなくてナーバスになっていたんだ。でも誰もいない、恐ろしい気持ちだったんだ。ドラムのマットと、ベースのディラン、そして僕の3人だけ。でも僕ら3人以外にだれかいた方が面白いと思ったんだ。他に誰もいなかったからディランは僕の上司で、マットはビデオの中で僕にカラオケを教える役。
でもやっぱり僕ら3人だけじゃ面白くない。知り合いにプロダクションデザインをやっている友達に家具のセッティングや壁面のデコレーションをお願いしたんだ。彼女に電話して二日間で撮影を完了させなければならないのに、誰もいない。そしたら「お店に置いてあるマネキンを置くのはどう?」と提案されたんだ。でも、着せつけしてちょっと気持ちが悪い感じになるかもと思ったんだ。他に選択肢はなかったんだけど、不意にMV出演を依頼した人たちのことを思い出したんたんだけど、みんな”Stock Image”みたいな見た目をしていたんだ。それからサイトをクリックして、写真を見て「そうだ!これをプリントアウトしたらいいんじゃないか?」と思ったんだ。等身大にプリントアウトして、友達も「これだ!」と言ったんだ。そのあといくつか写真を買ったんだけど、結構価格が高い。4枚で200ドルもかかったんだ。これも面白いエピソードなんだけどね。買った後、写真を見ると”Stock Image”の透かしが取れてしまっていたんだ。でも面白いから透かしをそのまま残したくて、フォトショップで自分でフェイクの透かしを入れたよ。
Stock Imageの写真が高価だったから、この写真をインスタグラムでも使っているし、YouTubeのライブ配信でも持ってきたんだ。お金を払った分はきちんと使いたいからね。それがこの写真を”Why Try”のビデオ以外でも使い続けている理由さ。何がいいかというと、たくさんの人をキャスティングする必要もないし、彼らのために食事を用意しなくてもいいし、送り迎えのためのガソリン代もかからない。だから機能したんだ。おかげで元々のプランよりもよっぽど良くなったよ。長いストーリーだけど、とても重要なポイントさ。
どのビデオでもストレスがかかる何かが起こっていたんだ。解決方法を考えなければならないけれど、その結果クレイジーなアイデアが浮かんでくる。
– 厳しい状況をクリエイティブに素晴らしいものに変えてしまったという感じなのですね。まさか”Stock Image”の写真が費用対効果的なアイデアだったとは意外でした。
Ginger Root – そうなんだよ。かなりの費用がかかったけど、誰かに食事を準備する必要もないし、送迎も必要ないんだ。いつでも雇えるしね。
– インスタグラムで観衆にスピーチするような短い動画もありますが、その中でも”Stock Image”の等身大写真を使ってましたね。そういったクリエイティビティが苦しい状況が変換されて素晴らしい結果が生まれるのは驚きです。
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Ginger Root – その話は面白いね。どのMVでも何か予期せぬ自体が起こってしまうし、解決しないとけない大きな問題が起こったりするんだ。でもそれは面白いことで、どのビデオでもストレスがかかる何かが起こっていたんだ。解決方法を考えなければならないけれど、その結果クレイジーなアイデアが浮かんでくる。最終的にはやりきって問題なく終わっていくんだけど、面白いよね。
Ginger Rootのアーティスト性に迫るインタビュー、後半はこちらから!
後半は、このインタビューの機会を作っていただいたOwl Pop代表、沢氏が運営するメディアPopzineで公開されている。本インタビューと併せて、ぜひGinger Rootのアーティストとしてのクリエイティビティに迫る後半も読んでみてほしい。
参考 Ginger Root(ジンジャー・ルート)「RIKKI」スーパーロングインタビュー(後編)「僕はすぐに取り組みたいんだ」Popzineアーティスト・ストーリーを伝える音楽メディア「Popzine」も同時にスタート。
他では知れないアーティストのサイドストーリーから、国内・海外のアーティストニュース、インタビュー記事などを公開予定。
お楽しみに!https://t.co/0u4SzDfewu
— Owl Pop (@owlpopmusic) December 30, 2020