【ライブレポート/感想】Sen Morimotoは嫌味のない天才だった @代官山 SPACE ODD

サマーソニック2018で初来日を果たし、その翌日には代官山SPACE ODDで単独公演を成功させたSen Morimoto(セン・モリモト)

サマソニでそのライブを観れなかったこともあり、単独公演をとても楽しみにしていた。きっとさらにビッグになるだろう(と、僕は思っている)し、SPACE ODDのような400人ほどのキャパのライブハウスでパフォーマンスを観れるのはこれが最後かもしれない、と思ったからだ。

実際、観に行けて本当によかった。

嫌味のない天才の、これまた才能の塊みたいなバンドメンバーの、ひたすらにクールなライブ」を観ることができて最高だった。

ライブは”Section”からスタート

会場の照明が落ち、バンドメンバーが静かにステージに上がる。登場するとき、SEがなくってちょっとシュールだった。続いてSen Morimotoが現れて会場が一盛り上がり。

最新アルバム“Cannonball!”の1曲目に収録された”Sections”からスタート。

オープニングが4音ぐらい重なったサックスから穏やかに始まる曲。Sen Morimotoは自らサックスを演奏し、ルーパーを使い自分の演奏した音に、さらに音を重ねて「1人」でオープニングを完成させた。

ステージ後ろの壁面には、今日のために作られた映像が流れたいた。彼のお兄さんが作った映像だそうで、「昼間の空に浮かぶ月」や「荒野に佇むSen Morimoto」など穏やかで静的な映像は彼の音楽とマッチしていた。

Sectionsで身体を揺らしながら「思ったよりもジャズだな」と思った。

Sen Morimotoが演奏するサックスが効いているし、リズムは時に複雑に変拍子を使いながらアクセントを付ける。ジャズから音楽キャリアをスタートさせたからか、彼が作る音楽のベースには「ジャズ」がある。

その上に「ヒップホップ」や「プログレ的リズム」などを載せて、ミックスしていくスタイル。とてもクールだ。

序盤からCannonball

Sen Morimoto – Cannonball (Official Music Video)

“Sections”から、”This Is Not”をかましてくる。序盤からキラーチューンを飛ばしつつ、場を温める。どうやら日本語は苦手なようで片言のMCを挟んでくるところが可愛い。そして3曲目に“Cannonball”だ。

チルを感じる。シカゴ在住の日本人アーティスト Sen Morimoto “Cannonball”
彼の曲の中では一番と言ってもいいぐらい有名であり、僕も“Cannonball”Sen Morimotoを知ったので序盤から仕掛けてきた時にはテンションが上がった。

会場全体がゆるゆると揺れながら、彼の流れるようなラップと、バンドのリズムに聴き入っていた。心地いい空間だ。僕はヒップホップを普段から好んで聴くわけではないのだけど、彼の音楽はすんなり耳が受け入れた。ヒップホップに感じられる「アグレッシブで毒を感じる」雰囲気が薄いからだろう。

サックスやバックバンドにはR&Bやファンクなどのバックグラウンドを感じるような「タイト」なリズムを感じるし、Sen Morimoto自身が放つ「柔らかさ」が、ヒップホップの持つ攻撃性を薄めている。

きっと「あれはヒップホップじゃない」などいう人もいるかもしれないけれど、僕のような「ヒップホップが苦手だけど、興味はある」という人には聴きやすい音楽だと思う。

リズムが複雑でタイト

全ての曲で言えるのだけれど、リズムが複雑。そしてめちゃくちゃにタイトだ。

バックバンドの(特にドラマー)がものすごい。プログレッシブな変拍子をどんどん突っ込んでくるのに、全くぶれなくグルーヴを生み出す。

バンド編成でのライブだったからこそ、素晴らしいライブになったのだと思う。迫力のある生音と生のリズムを乗りこなすSen Morimotoのリリックが絡む。「ジャズ」を感じさせるには一番のセットだったと思う。

コールアンドレスポンス

「コールアンドレスポンスやってみようか!」と言って、練習をさせるSen Morimoto。日本語に詰まりながら、英語を混ぜつつMCで話す彼の様子を見ていると「協力してあげたい!」と思わされた。

コールアンドレスポンスを好まない人もいるけれど、僕は結構好きだ。会場が一つになっている感覚は悪いものではないし、小さい箱でもみんなが「一点」に集中している感じは心地いい。

最後にはライブ当日の様子をVJで流す

「最後の曲です。アンコールはないのだけど後でフロアに下りていくから」と英語で一言話して最後の曲が始まる。

するとVJの映像が切り替わり、Sen Morimotoが日本の実家?から出てきて家族に見送られるシーンが映し出される。

ライブ当日の朝、Sen Morimotoが家を出て、仲間と合流して、会場入りするまでの映像を流しているようだ。盛り上がる会場。家族に見送られたSen Morimotoはそのまま電車に乗り(都営新宿線だった気がする)東京のホテルで仲間と合流。

多分ライブパフォーマンスも素晴らしかったのだけど、観客は映像に気が行っていたと思う。映像にストーリーがあれば、ついつい惹きつけれて見てしまう。

家族やバンドメンバーとの仲がきっといいんだろうなぁ、となんとなく暖かな気持ちでライブは幕を閉じた。

ジャズ+ヒップホップ+プログレ

Sen Morimotoを音源で聴いている限りはおしゃれなヒップホップという感じ。十分僕の趣向には刺さっていたんだけど、ライブを観てさらに深く心に刺さった。

あれはジャズだ。想像の10倍はジャズだった。

バンドセットのおかげでリズムのタイトさが際立っていた。繰り返すようだけどドラマーのタイトさにはやられた。欲しいところにビシビシ叩き込んでくるドラミングはたまらなくクールだった。

きっと土台がどっしりしたリズムに支えられたことで、Sen Morimotoの歌・ラップも音源以上に引き立てられたのではないだろうか。いやもう一回観たい。

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