夏の魔物ほどカオスな音楽フェスなんてあるの?

先日東京はお台場で開催された音楽フェス「夏の魔物」に行ってきた。

10年ほど前に青森でスタートし、今年は東京・大阪の2箇所で開催されている、邦ロック・アイドル・サブカル好きにはもはやお馴染みのフェスだ。

僕は今年初めて参加したわけなんだけど「こんなカオスなフェス、行ったことない。アイドルとおっさんしかおらんやん!でも最高に楽しい!」という感想しか出てこない。

ミッシェルガンエレファントで、ハイエイタスでもベースを弾くウエノコウジ氏が、ライブ中MCでそう言っていた。そりゃそうだ。だってこのタイムテーブルだから。


Photo Via 夏の魔物 公式

「サニーデイ・サービスやイースタンユース出てるしロックフェスなのか?」

「いやでもでんぱ組やGANG PARADE出てるしアイドルフェスなのか?」

「いやいやそもそもプロレスのリングがステージになっているのはなんで?」

など、タイムテーブルを眺めているだけで疑問がふつふつ湧いてくる不思議なフェスだ。

様々なジャンルからチョイスされたバンド・アイドルが一堂に会す「カオス感」が全てであり「夏の魔物」が特異な雰囲気をもつ一つの要因だと思う。

僕も「こんなカオスなフェス、雰囲気がよく分からないし、楽しいのかな・・・?」と若干の疑問を持ちながら参加した。

ぜひ同じような気持ちを持っていた人で、今回行けなかった人にもぜひどんなフェスか知ってほしいし、行った人とも稀に見る「カオス感」を分かち合いたいと思う。

「夏の魔物」とはどんなフェスなのか?


PHOTO VIA 夏の魔物 公式サイト

夏の魔物」とは2006年に青森で開催がスタートしたロックフェスだ。

当時高校生だった成田大致氏が、かたっぱしからアーティストの事務所にFAXを送りまくって地元青森でフェス開催にこぎつけた。

成田氏の実家がどえらい裕福な家庭で、実家に帰るたびに家が増設されていたり、実家の山を切り開いてフェス運営をしていた。そもそも普通の高校生に「音楽フェスを自分の手でやろう」なんて発想がない。

第一回には、シーナ&ロケッツ曽我部恵一POLYSICSなど大物が出演している。こんな豪華なバンドを呼ぶだなんて、金があればできるというものでもない。底知れない行動力である。

参考 AOMORI ROCK FESTIVAL '12~夏の魔物~音楽ナタリー

一方で、終了予定時間を1時間半ほどオーバーしてしまうなど運営面での問題もあったという。

実際今回の東京開催でも夕方16時半ぐらいに一度ドリンクが完売になってしまい、30分以上待たなければならなかった。まぁ東京のお台場での開催だったので、会場の外で帰るので特に大きな問題にはならなかったのだけど。

こんなトラブル込みで「夏の魔物」なんだと思う。

ステージ間がめっちゃ近い

では実際に行ってみてどう感じたか、まとめていきたいと思う。

会場はお台場ヴィーナスフォートの反対側にある特設会場。ゆりかもめ青海駅から5分ほどの距離で、駅に着くなり会場から音楽がしっかり聴こえてくる。

会場に入ってまず思ったこと。とにかくステージ同士が近い。それぞれのステージがほとんど隣り合っているような感じだ。

音量が大き目に設定されていたので、演奏中に音が混在してしまうことはなかったのだけど、曲と曲の間には他のステージの音がガンガン聴こえてくる。

それぞれのステージにいると、スピーカーから聞こえてくる音しか聴こえないので混乱しない。でもステージから少し離れるといろんないろんな音が聴こえてきてカオス。

しかし、見たいバンドの時間帯が被ってしまってもすぐに移動できるから便利でもある。ステージ間の移動は数分あれば余裕だ。サマソニやフジロックのような巨大フェスと比べると、当然だけど移動に時間がかからない。カオスだけど、利便性は高い。

元ナンバーガールのメンバーが全員観れた

きっと夏も魔物の出演陣を見た時に「あれ?ナンバーガールのメンバー全員出てるやん・・・?」と思った方も多いのではないだろうか。

あの!向井秀徳、田渕ひさ子、アヒトイナザワ、中尾憲太郎から成る伝説的なロックバンドだ。


「これはナンバーガール一夜限りの再結成・・・?」なんて妄想をしていたのだけど、それはさすがになかった。
でもそれぞれのバンドやソロでも活躍するメンバーを1つのフェスで全員観れたのはファンとしてはとても感慨深い。
ちょっと笑ってしまったのは田渕ひさ子がMC中に発したこの言葉。


あ、それ本人がいっちゃうんだ!と思ったけれど、ゆるゆるでとても良かった。個人的には田渕ひさ子の弾き語りに感動した。歌があんなに上手いとは、失礼ながらあまり知らなかった。ギタリストのイメージが強いから。

アイドルとおっさんしかいない

先にも触れたが夏の魔物は「アイドルとおっさんしかいない」フェスだった。実際に、ウエノコウジがMC中に放った言葉だ。

確かに出演者にはベテランミュージシャンとアイドルが多い。来場していた観客も、明らかなアイドルファンというような見た目の人もたくさんいたし、家族連れで来ていた年配の人も多かった。

片方のステージでゆるめるモ!がライブをしたと思えば、もう一方ではROVOのライブが始まる。

アートスクールがライブをしたステージで、おやすみホログラムがその後にパフォーマンスを行う。

GANG PARADE向井秀徳が同じステージでライブするなんて、他のフェスで観ることができるのだろうか。いや出来ない。

ステージの近接具合もカオスの要因だけれど、出演陣のジャンルレスで世代の幅広さもカオスを作り出していた。こんなフェス初めてだ。

ROVOとおとぼけビ〜バ〜が特に良かった

個人的ベストアクトも上げておきたいと思う。

おとぼけビ〜バ〜

まずは京都のガールズバンド、おとぼけビ〜バ〜だ。

前々から好きなバンドだったので一度ライブを観てみたいと思っていた。おとぼけビ〜バ〜はこんなバンド。

今話題の韓国のインディーバンドであるSay Sue Meと同じロンドンのDamnably Recordsからデビューしている。アメリカの巨大フェスコーチェラにも出演。ワールドワイドな活躍っぷりだ。


PHOTO VIA おとぼけビ〜バ〜

案の定ぶっ飛んだライブパフォーマンスを見せてくれた。「Love is short」も観客が暴れまわるキラーチューン。

Otoboke Beaver – 'Love Is Short!!' EP(Damnably 2017) FULL STREAM

 

「あなたわたし抱いたあとよめのめし」を最後にやったんだけどぶち上がった。「セックス柴漬けロックンロール」コール起こらなかったのがちょっと残念だった。

Otoboke Beaver – 'Anata Watashi Daita Ato Yome No Meshi' (Damnably 2018)

 

過激で激しいのに、根底にポップネスがあるから、こういう音楽が苦手でも聴けちゃうんだと思う。

この不思議なガールズバンドについてよく知りたいあなたはぜひこちらにまとめているので読んでみて欲しい。
コーチェラにも出演。パンクでガレージなガールズバンドおとぼけビ〜バ〜が最高なので聴いて欲しい

ROVO

もう一つはROVO(ロボ)だ。

個人的にはマスロック的なイメージを持っていたバンドで、結成20年以上経過した大ベテラン。

「ダンスミュージックを人力でやる」というコンセプトを体現するような、フレーズの執拗なリピートやダブルドラムの強烈なリズム。

さらにエレクトロバイオリンが独特にエッジが効いたフレーズを加える。とにかくロックでありながら、ダンスミュージックのようなトランス感がとても気持ちいい。

ROVO / SPICA (LIVE at 日比谷野音 2007)

 

恥ずかしながら、このライブを観るまでよく知らなかったのだけど度肝を抜かれた。語弊を恐れずにいうと夏の魔物に出るバンドじゃない。

こういったガチガチのテクニックとキャリアがあるバンドがしれっと混ざってるあたりに「夏の魔物」の本領を見た気がする。

意外な出会いを生むカオスが魅力だよ!

お目当のバンドがいるバンドと全くタイプの違うアイドルがすぐ横でライブやっていたりするので、いろんな音楽に触れることができた。

例えば、僕はアイドルにそこまで興味があるタイプではないからアイドルのライブを観ることがほとんどないのだけど「夏の魔物」だとこれだけたくさんのアイドルが出演しているのだから「観てみようかな」と思える。


実際見て観ると「ファンのものすごい一体感」に驚かされたりする。僕の音楽の趣向からするとなかなか体験し得ないことだ。

きっとアイドルしか知らない人も、たまたまライブを観たバンドにハマる可能性だって大いにあるだろう。

こういった「新しい音楽との出会い」を生み出すカオスが魅力的だし、他のフェスにはなかなか見られない特徴だ。
ジャンルも世代も混ぜこぜの「カオス」が面白そう!と思えるようなら、ぜひ来年は「夏の魔物」に参加してみて欲しい。

きっと普段知り得ない音楽やライブから、音楽の趣向の幅が広がると思う。

今年は冬にも開催されるよ!

普段は夏〜秋口あたりに開催される「夏の魔物」だけど、今年は12/25に青森での開催が決まっている。
参考 ロックフェス「夏の魔物」、年末に青森でも開催音楽ナタリー

平日開催で、しかも青森が会場なので参加するハードルは高いかもしれないがぜひ気になる人はチェックしておいて欲しい。今後ラインナップが発表されるので期待して待っておこう。